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2021年はモヤとジョーンズが活躍
2021年、日本一には惜しくも届かなかったが、オリックスは2年連続最下位から見事25年ぶりのリーグ優勝を果たした。そして頂点を目指した日本シリーズでもモヤとジョーンズが代打本塁打を放つなど、存在感を誇示した。過去のオリックス（前身は阪急）の優勝の原動力になった助っ人外国人たちを紹介する。
西本幸雄監督時代のスペンサー
阪急の外国人選手と言えば、何と言ってもスペンサーである。1964年から68年は選手一本、71年・72年はコーチ兼任で阪急に在籍した。
西本幸雄監督が「お荷物球団」と揶揄された阪急を67年に球団創設32年目の初優勝に導くのだが、30本塁打を放ってペナント奪取の原動力になった。
スペンサーがもたらしたのは「シンキング・ベースボール（考える野球）」だ。投手のクセを盗んだり、データを取る。ネクストバッターズサークルからかなり飛び出して、投手の投げ方がよく見えるところでメモを取っていた。当時南海の捕手だった野村克也は「アンパイヤ、あんなところで見ていたらルール違反ではないのか」とよく抗議したそうだ。
野村克也は65年に三冠王（42本塁打）を獲得しているが、ライバルのスペンサーと熾烈な本塁打争いを演じた。閉幕2週間前に38本塁打のスペンサーが交通事故に巻き込まれて、野村の本塁打王が確定した。野村が「人事を尽くして天命を待つ」という言葉を好み、験担ぎに固執したのはこのあたりに理由があるかもしれない。
スペンサーがチームにもたらした波及効果は大きく、68年・69年・71年・72年も阪急は覇権をつかむ。「スペンサー・メモ」の影響を強く受けたのは同じ右打者の本塁打王・長池徳二、「世界の代打本塁打王（27本）」高井保弘だ。
スペンサーの野球を見て、南海はブレイザー（67年～69年）を獲得する。やはり「シンキング・ベースボール」を野村に伝えたブレイザーは、70年からプレーイング・マネジャーを務めた野村のヘッドコーチとして二人三脚で采配を振るうのだ。野村はスペンサーを評して「私の野球観に多大な影響を与えた」「日本における野球宣教師だ」「私が選ぶ日本野球ベストナイン二塁手だ」と絶賛していた。
また余談だが、スペンサーは65年にサイクルヒットを達成。そのことについて尋ねてこない新聞記者に対し「なぜサイクルヒットについての質問がないんだ？」と逆に問い質し、日本プロ野球が48年の第1号、藤村富美男（阪神）までさかのぼったというエピソードを持つ。ちなみにスペンサーは史上24人目であった。
上田利治監督時代のマルカーノ、ブーマー
西本監督からチームを禅譲された上田利治監督は、75年から78年までリーグ4連覇を果たす。当時の阪急の福本豊、加藤秀司、島谷金二らの強打者らとともに打線の中軸を担ったのがマルカーノである。眼鏡をかけた二塁手で、78年に打点王。守備も上手く、4度のダイヤモンドグラブ賞（現ゴールデングラブ賞）を受賞している。
84年は三冠王を獲得したブーマーが日本一に貢献した。本名は、グレゴリー・デウェイン・ウェルズ。今年在籍したモヤもそうだが、身長が200センチ。「ブームを呼ぶ男」として、ブーマーと登録された。
実は阪急は当初、バースに目をつけていたのだが、阪神との獲得競争で契約金が釣り上がり、断念した。バースは日本球界6年で2年連続三冠王。ブーマーも10年で84年の三冠王を含む打率3割7度、40本塁打3度、100打点5度。しかも通算打率.317は、4000打数以上では落合博満を上回り、右打者最高。バース以上の成功だったとも言える。
89年、ダグアウト前でハイタッチした門田博光の右腕を脱臼させてしてしまった。怪力のブーマーらしいが、痛がる門田を心配そうにのぞき込んでいた優しい姿が印象深い。
仰木彬監督時代のニール
仰木彬監督の95年・96年は2年連続ベストナインを受賞したニール。96年は本塁打王と打点王の二冠に輝き、巨人との日本シリーズではMVPを受賞している。
気性が激しく、日本球界6年で退場処分3度。とはいえ、仰木監督に心酔し、日本野球に熱心に取り組んで通算136本塁打。親日家で、99年にグリーンスタジアム神戸（現ほっともっとフィールド神戸）で結婚式を挙げた。
96年以降、打撃三部門のタイトルを獲得したのは2008年ローズ、ベストナインを受賞したのは07年ラロッカ、08年・10年カブレラ、12年李大浩らがいるが、残念ながら優勝には届かなかった。
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