楽天戦は好相性も直近は競り負け
16年ぶりのリーグ優勝を逃したロッテ。気持ちを新たに、11月6日から始まるクライマックスシリーズ(CS)で11年ぶりの日本一に向けた戦いに挑む。
相手は楽天。今季15勝9敗と大きく勝ち越してはいるものの、10月に入ってから行われた4試合では1勝3敗と負け越しており、ここ2試合は接戦を落とすなど嫌な負け方をしている。ましてや短期決戦において、長丁場のレギュラーシーズンの相性の良し悪しはあまり参考にならない。
ロッテは1戦目が佐々木朗希、2戦目が小島和哉、3戦目が石川歩との報道があり、楽天は1戦目が則本昴大、続いて岸孝之、田中将大の順での登板が濃厚と見られている。10月のチーム打率はロッテが.212(出塁率.275)、楽天が.222(出塁率.311)と両チームともに低調。互いに先発投手が最少失点に抑えることを前提に、無駄な四球やミスをなくし、少ないチャンスをいかにものにできるかが勝負のポイントになるだろう。
初戦の先発は佐々木朗が適任
レギュラーシーズンを4連敗で終えたロッテは、是が非でも初戦を取ってチームに勢いをつけたいところだ。
そういった意味からも、シーズン後半はエースとも言える安定感抜群の投球を見せ続けた佐々木朗は初戦の先発に適任だろう。9イニングあたり四球をいくつ与えたかを示すBB/9(与四球率)が2.27(2.5以下は優秀と評される)と優れた数値をマークしており、どんな状況の試合でも制球を乱す心配があまりない。その上、対楽天戦の防御率は1.35、被打率は.132と抜群の成績を残している。
佐々木朗が計算できるだけに打線は早い段階で援護したいところだが、初戦の相手は難敵・則本。今季、対ロッテ戦の防御率は1.61、被打率は.225と抑えられており、連打で崩していくのは難しい。
対則本の打率が.455(11打数5安打)と相性のいいリードオフマンの荻野貴司の出塁と、同様に.444(9打数4安打)と相性のいいブランドン・レアードがチャンスで打てるかどうかが攻撃のカギとなりそうだ。
2戦目の先発が予想される小島は、対楽天戦の防御率が3.11、被打率が.196。対ソフトバンク戦の防御率が6点台、対日本ハムおよび西武戦が4点台ということからも、比較的得意としている相手といえる。また、10月3日には完封勝利をマークし、レギュラーシーズン最後の登板となった10月27日の一戦でも6回1失点と好投しており、期待が持てる。
懸念点は、打点王の4番・島内宏明に.412(17打数7安打)と打ちこまれ、下位打線の辰己涼介にも.300(20打数6安打)と打たれている点だ。そのため、これらの打者の前に走者を出さないことが重要になる。
3戦目の先発が見込まれている石川は、直近5試合で4勝1敗、10月13日のオリックス戦では9回2失点の完投勝利、24日の日本ハム戦では8回無失点と好調をキープしているが、対楽天戦は防御率5.25、被打率.327と相性が悪い。特に主砲の浅村栄斗には.667(6打数4安打)と打ち込まれている。
ただし、これは今年6月に受けた右肘関節クリーニング手術前の成績。復帰後はまだ対戦していないため、今回の対戦でどうなるかが楽しみだ。
勝負所での采配が明暗を分ける
投手陣はある程度のめどが立つものの、課題は湿りっぱなしの打線。直近の5~6試合を振り返っても、打っているのは荻野、レアード、山口航輝ぐらいで、他の打者は軒並み不振にあえいでいる。
CSへ向けた復調を期待して10月29日、30日の日本ハム戦で打席を与えられた藤原恭大も9打数無安打と沈黙。9月~10月の通算打率は.087(69打数6安打)と深刻な状況で、スタメンはおろか代打での起用も厳しい。
ましてや楽天は、クローザーの松井裕樹が11月3日のシート打撃に登板し、最速148kmをマークするなどCSでの復帰登板へ向けて状態の良さをアピール。出てくることになれば楽天にとっては大きな戦力となり、ロッテにとっては試合終盤の戦いがより厳しくなる。
当然ではあるが、先制点、中押し点をいかにもぎとって試合の主導権を握るか。点を取った直後の回の失点をいかに抑え、流れを渡さないかが短期決戦では特に重要になる。
9回打ち切りだったレギュラーシーズンの方式がCSでも継続され、勝敗が並んだ場合はレギュラーシーズン上位のチームが勝ち抜けることとなった。引き分け狙いの“守り”に入ることのリスクは、リーグ優勝がついえた10月27日の楽天戦(同点で迎えた終盤、代走や代打の起用をせず守備を重視。結果は1-2で敗戦)でも証明されており、勝負所での指揮官の采配が明暗を分けることになるだろう。
山本由伸という巨大な壁
仮にファーストステージを勝ち抜いたとしても、直後に立ちはだかるのはオリックスの山本由伸という巨大な壁。1勝のアドバンテージをもつオリックスが、初戦の先発が予想される山本で勝利すれば2勝。そこから4勝するのは厳しい道のりだ。計算できる佐々木や小島らをファーストステージで投入さぜるをえないということも、オリックスにとっては有利にはたらくだろう。
たが今季、山本が唯一苦手としているのがロッテ戦(防御率3.46、被打率.269)。15連勝中はロッテと対戦していないため、ロッテがファイナルステージに進めば久々の対戦となるが、どうなるか。現状の打線では、目下絶好調の山本に対して苦戦が予想されるため、ファーストステージでいかに打線が復調できるかがカギになるだろう。
まずは楽天戦。11年ぶりの日本一に向けた戦いが始まる。
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