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ロッテがリーグ優勝を逃した4つの要因

2021 11/3 06:00浜田哲男
ロッテの井口監督,ⒸSPAIA
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ⒸSPAIA

不安定な先発投手陣

10月27日、楽天に敗れた瞬間、ロッテの16年ぶりのリーグ優勝の夢はついえた。シーズン終盤はオリックスとの激しいデッドヒートが続き、自力で優勝できる可能性も残していたが最後に力尽きた。なぜ、ロッテは優勝に手が届かなかったのか。その要因を考察した。

まず挙げられるのは不安定な先発投手陣。左腕の小島和哉が、9月11日のプロ入り初完投勝利をきっかけに自身初の二桁勝利(10勝4敗)を挙げるなど飛躍した。だが、次に勝ち星が多いのは岩下大輝の8勝(8敗)。チームの躍進にシーズン前半は貢献した岩下だったが、後半は未勝利に終わった。

故障で離脱していた石川歩の復帰、シーズン途中から先発に転向したルーキーの河村説人や令和の怪物・佐々木朗希の台頭、途中加入のエンニー・ロメロの安定した投球などもあった。そのため、最後まで粘りの戦いを見せていたものの、本来は先発の柱として牽引しなければならない美馬学(6勝7敗)と二木康太(5勝7敗)が、ひとつも貯金できなかったことが最終的に響いた。

被本塁打146本は12球団ワースト。チームがいよいよ勢いに乗りかけるかという大事な試合で先発投手が序盤に被弾し、あっさりと逆転されるケースも散見された。

中軸を担うべき中堅野手の不在

本来は中軸を担うべき中堅野手が不在だったことも大きい。2018年に打率.292、24本塁打、99打点を記録して覚醒し、2020年までの3年間で231打点を挙げた井上晴哉が抜けた穴は大きかったと言わざるをえない。レオネス・マーティンとブランドン・レアードが揃って活躍し、2人で170打点を稼いだが、その前後に本来の井上の姿があれば打線の厚みも違い、相手に脅威を与えていたはずだ。

今季はわずか4試合の出場に終わった福田秀平や、昨季一定の活躍を見せた菅野剛士も本来は攻守でチームの中心になってほしい選手だった。ベテランの荻野貴司が全試合に出場し、若手の山口航輝が78試合に出場して9本塁打を放つなどポテンシャルの高さを垣間見せたが、井上や福田ら中堅が働くことができていれば、ベテランの負担が減り、若手が感じるプレッシャーはもっと少なかったはずだ。

外国人助っ人頼みの打線

打線が外国人助っ人頼みであることも課題のひとつ。前述したように、マーティンとレアードは、好不調はありながらもシーズンを通じて多くの勝利に貢献した。しかし、マーティンが後半の勝負所で自打球による足の骨折で離脱すると、レアードへのマークが厳しくなるなどの悪循環を招き、打線全体が下降線をたどった。

優勝したオリックスは吉田正尚、杉本裕太郎ら日本人強打者が核となっている。そして、長打力のあるスティーブン・モヤやT-岡田らがその脇を固め、勝負所で効果的な一発を放つなど勝利に貢献した。

ロッテは近年、荻野の出塁と外国人助っ人の長打力に得点力を依存している傾向がある。本来は中軸を担うべき井上らの復調や今季経験を積んだ山口、また、安田尚憲、藤原恭大らの成長がなければ、毎年同じことの繰り返しになるだろう。

シーズン終盤にはマーティン、レアード、アデイニー・エチェバリアの3人がクリーンナップを組む試合もあった。中長期で強いチームを作っていくという観点からも、外国人助っ人に頼らなくてもいい打線の形成は重要だ。

期待の若手の伸び悩み

今季1軍デビューを果たした山口は、開幕戦で5番を任されるなど将来の長距離砲として期待された。途中、不振により2軍で調整する期間がありながらも、78試合に出場して9本塁打を放つなど大器の片鱗を見せた。

一方、昨季は113試合に出場し経験を積んだ安田と、昨季終盤に頭角を現わした藤原は今季の躍進が期待されたが、活躍できた期間は限定的だった。安田は4月だけで28打点を挙げるなどシーズン序盤は好調な打線の中心として活躍を見せたが、以降は長打が出なくなるなど苦しんだ。

藤原は7月3日に一軍再昇格を果たすと、荻野とクリーンナップをつなぐ不動の2番として機能し、7月に打率.400、8月は.316と打ちまくり、7・8月度の月間MVPを初受賞。しかし、9月5日の試合で受けた左ふくらはぎへの死球の影響も重なり、9月は.091、10月は.080と低迷し、最後まで状態を上げることはできなかった。

技術の追求はもとより、そのベースとしてシーズンを通じて戦う体力の維持も課題だ。中堅野手の層が薄いため若手の成長に期待さぜるをえない点も課題ではあるが、彼ら若手には、シーズン終盤の勝負所でベンチ要員となった悔しさを来季に活かして、レギュラーの座をつかみ取ってほしい。

あと一歩の要因は複合的で根深い

来季はトミー・ジョン手術からの復帰を目指す種市篤暉と西野勇士には、再び先発ローテーションの一角に加わることが期待される。また、10月30日に右手首を手術した井上の復調も同様だ。イースタン・リーグで10勝を挙げ、最多勝利投手賞を獲得した育成4年目の森遼大朗など期待の若手もいる。

先発投手陣に厚みが生まれれば白星が計算できる。中堅野手が奮起することで打線に厚みができれば、安田や藤原、山口ら若手のプレッシャーが緩和し、伸び伸びとプレーできる。ベテラン・中堅・若手の間に相乗効果が生まれるはずだ。

優勝マジックを点灯させ、あと一歩というところで優勝を逃した感があるが、一歩足りなかった要因は複合的であり根深い。浮き彫りになった課題をいかに解決していくか。来季以降の戦いぶりに注目したい。

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