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ソフトバンク藤本博史新監督が選手に寄り添う理由と40年のホークス愛

2021 10/29 15:30SPAIA編集部
ソフトバンクの藤本博史新監督と王貞治取締役会⻑兼特別チームアドバイザー,ⒸSoftBank HAWKS
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工藤公康前監督の背番号81「もらいます」

ソフトバンク・工藤公康監督の退任に伴い、後任として就任した藤本博史新監督(57)が29日、PayPayドームで会見した。

今季は二軍監督として指揮を執り、65勝40敗4分けでウエスタン・リーグ2位。二軍打撃コーチ時代に柳田悠岐を育成した手腕が期待されている。

今の心境を問われ「すごく緊張してます」と正直に吐露。「要請された時は不安だったが、家族にも相談して、光栄な話だから思い切ってやってみたらと言われた。プロ野球人として最高峰のポジションなので、やりがいがあると思って決めました」と打ち明けた。

同学年の工藤公康前監督とは一昨日に電話で話し、「不安もあるけど全力で頑張ると言ったら『博史ならできるよ』と軽く言っていただいた」と苦笑い。現在の背番号は76だが「工藤監督の番号をもらいます。7年で5回日本一になって、すごく重たいが、それに追いつくためにもらいます」と、81を継承したい考えを示した。

今季は4位に終わったとはいえ、昨季まで4年連続日本シリーズで優勝していただけに「今までが常勝軍団で来ているので、弱くなったと言われたくない」と相当なプレッシャーを感じている様子だった。

一軍に送り出したリチャードは7本塁打

今季は未来の主砲候補・リチャードを一軍に送り出した。沖縄尚学高から入団4年目の22歳は身長189センチ、体重119キロの恵まれた体格と並外れたパワーで期待されていたが、メンタル面の弱さがあった。そのため毎日欠かさず部屋で数分間話すことを続けたという。

チーム成績の上がらない一軍からリチャードの昇格を打診されても「その時、40打席ノーヒットだったので状態が悪いし、メンタル面も落ち込んでるんで、もうちょっと待ってほしいと小久保ヘッドに言いました」と振り返る。

藤本二軍監督がもう大丈夫と太鼓判を押し、一軍昇格したのが9月2日。その後、一軍で34試合に出場して7本塁打を放ち、大器の片鱗をのぞかせた。指導者としてのポリシーを「選手に寄り添うこと」と話す通り、選手としっかり向き合い、ともに歩んでいくスタイルだ。

その裏には現役時代の経験がある。ひとつは、1990年から95年までダイエーの一軍打撃コーチを務めていた大田卓司氏にセカンドを守るよう指示されたこと。当時のポジションはサードとファーストだったが、セカンドをできないと打席に立てないと言われ、コンバートされたおかげで結果が出た。「若い選手の長所を伸ばして、引き出しを増やしていきたい」と話すのはそのためだ。

もうひとつは、練習の大切さを身に染みて知っていること。「元々練習嫌いと言われていたが、練習したものが勝つことは、コーチになって特に分かった」と明かす。苦しくても歯を食いしばって乗り越えなければ、明るい未来はやってこないと若い選手に伝えることが大切だと肌で感じてきた。

解説者として見た王ダイエーの初優勝

藤本新監督は大阪府出身で、天理高2年時に夏の甲子園準決勝で愛甲猛を擁する横浜高に敗戦。1981年ドラフト4位で南海に入団し、1992年に20本塁打を放つなど強打の内野手として活躍した。1998年に金銭トレードでオリックスへ移籍し、同年限りで引退。通算1103試合出場で715安打、105本塁打、419打点、打率.235の成績を残している。

引退後は九州で解説者として活動し、2011年からソフトバンクのコーチを歴任。つまり、プロ入り以来40年間、ほとんどの時間をホークスとともに歩んできた。

現役時代は優勝を経験できなかったが、引退翌年の1999年、王貞治監督率いるダイエーが福岡移転後初優勝。解説者として見ていた藤本監督は「胴上げの輪に入りたいと感じた。もう1年頑張ればよかったと後悔しました」と振り返る。

だからこそ、優勝への思いは人一倍強い。「一丸となって優勝、日本一を目指して頑張っていきたい」とキッパリ言い切る口調は力強かった。

藤本新監督就任に合わせ、王貞治取締役会⻑は特別チームアドバイザーを兼務し、今まで以上にチームを幅広くサポートする。11月から始まる秋季キャンプに向け、藤本新監督は「今年は厳しいキャンプになる。レギュラーは決まってないし、二軍の選手にも十分チャンスはある」と鍛え上げるつもりだ。これまで自ら打撃投手を務めることも多かったが、「投げろと言われたらいつでも投げます」と意欲を見せた。

昨季まで「最強」の名を欲しいままにしてきたソフトバンク。藤本新監督の下、日本一奪回への新たな挑戦が始まる。

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