早川は期待通りの活躍も田中らの勝ち星が伸びず
昨季オフは、田中将大の電撃復帰やアマチュアナンバーワン投手・早川隆久の獲得などで話題を呼んだ楽天。田中をはじめ、岸孝之、涌井秀章、則本昂大と実績と経験のある先発投手を揃え、シーズン前は優勝の有力候補として目されていたが、ここまでは田中が4勝(7敗)、涌井が6勝(8敗)と誤算。パ・リーグの3位につけているが、当初の期待に応えているとは言い難い状況だ。
早川が9勝(6敗)と期待に違わぬ活躍を見せてはいるものの、ベテランが先発投手の多数を占める状況は喫緊の課題のひとつだ。今季のドラフトの補強ポイントを、投手(先発・リリーフ)・捕手・内野手・外野手ごとに年齢分布の表を用いながら考察する。
左右のバランスはいいが若手の台頭が課題
先発投手は前述した通りにベテランが多く、30歳以上の投手が多数。岸、涌井、田中、則本の各投手はスタミナもありまだまだ元気ではあるが、早川以外にも若手の台頭が求められる。瀧中瞭太は今季も8勝(4敗)を挙げるなど安定した活躍を見せているが、早川と同い年の藤平尚真や高田孝一、高田萌生らの一本立ちも期待したいところだ。
リリーフは、リーグ2位の25ホールドを挙げている酒居知史や同3位の24ホールドをマークしている宋家豪、52試合に登板して防御率1.61と抜群の安定感を見せる安樂智大など、右投手が各世代万遍なく揃っている一方、左投手が少ない。不動のクローザーの松井裕樹の存在は際立つが、勝ちパターンに食い込んでいく左投手は補強ポイントのひとつだろう。
以上の点から、上位で将来のエース候補を、中位~下位でリリーフ左腕の指名が考えられる。前者なら、風間球打(ノースアジア大明桜高)、小園健太(市和歌山高)、森木大智(高知高)の高校生BIG3から誰かとなることが予想されるが、その中でも地元が近くスケールの大きい風間が最有力候補か。
リリーフ左腕としては、三菱重工Westの森翔平や新潟医療福祉大の桐敷拓馬、独立リーグ・火の国サラマンダーズの石森大誠あたりの速球派から一人は確保したい。
右の長距離砲は重要な補強ポイント
捕手は太田光が97試合に出場しているが、シーズン後半は途中加入の炭谷銀仁朗がマスクをかぶる機会が増加。そのほかには田中貴也が29試合、下妻貴寛が16試合、足立祐一が10試合に出場するなど、絶対的な捕手は存在しないが層が厚いとも言える。世代も20歳の水上桂から34歳の炭谷までバランスよく構成されている。特段、ドラフトで積極的な補強が必要なポジションではなさそうだ。
内野手は左右のバランスがとれているが、レギュラーと言える右打者は浅村栄斗のみ。長距離砲として期待される内田靖人は2018年に12本塁打を放つも以降は伸び悩み、同様に長打力を期待される和田恋も一軍で活躍できていない。左打者は、鈴木大地、島内宏明、茂木栄五郎、小深田大翔、山﨑剛と内野手だけでも多くの巧打者タイプがスタメンに名を連ねており、やはり右の長距離砲は重要な補強ポイントだ。
外野手も主に試合に出場しているのは岡島豪郎をはじめ、辰己涼介らの左打者。巨体から繰り出されるパワーが売りの岩見雅紀などの覚醒も期待されるところだが、今季は一軍で4試合(7打席)の出場にとどまる。カスティーヨやディクソンを補強し打線の強化を図ったが誤算。外国人助っ人は目算通りにいかないことも多いため、やはり右の和製大砲候補の獲得と育成は喫緊の課題だ。
22歳以下の右打ち外野手が一人もいないことから、ここを優先的に補強したい。高校生なら吉野創士(昌平高)、池田陵真(大阪桐蔭高)、大学生なら正木智也(慶応大)、ブライト健太(上武大)らが候補となる。特に、吉野とブライトは右の大砲候補というだけでなく、足も使える選手で、オコエ瑠偉ら伸び悩んでいる若手の刺激にもなるだろう。
内野手で狙うなら有薗直輝(千葉学芸高)、池田来翔(国士館大)あたりか。コンバートすることも視野に、松川虎生(市和歌山高)、久保田拓真(関西大)ら強打の捕手を指名することも考えられる。いずれにせよ将来の主軸候補を最低一人は確保しておきたいところだ。
※表の年齢は2021年の満年齢
※育成選手、引退及び戦力外が発表された選手は含まず(10月5日時点)
【関連記事】
・ロッテのドラフト補強ポイント 左のリリーバーと長打力のある即戦力野手は必須
・阪神のドラフト補強ポイント、将来性ある投手か、得点力アップへ強打者か
・村上宗隆、清宮幸太郎がプロ入りした2017年ドラフトの答え合わせ