先発投手陣は充実、将来性を見据えて指名?
プロ野球ドラフト会議が11日に行われる。セ・リーグで優勝を争う阪神は充実した戦力を誇るが、補強ポイントはどこだろうか。
まず先発投手陣を見ると20代半ばから30歳前後の活きのいい投手が揃う。ローテーションは西勇輝、秋山拓巳、ガンケル、青柳晃洋の右腕が4枚。左腕もルーキー伊藤将司に故障明けの髙橋遥人が復活し、先発陣はリーグ屈指だろう。
欲を言えば、全員が一定の水準をクリアしている半面、飛び抜けた絶対的なエースがいない。今季は藤浪晋太郎の復活が期待されたが、制球難は相変わらずなのが現状だ。
9月には天理(奈良)の長身右腕・達孝太とプロ志望届提出前に面談していたことが判明し、問題になった。実際に指名するかどうかは当日まで分からないが、地元出身のエース候補は思わず勇み足をしてしまうほど欲しい存在なのだろう。
達を2位で指名できそうなら、1位は高知高・森木大智や市和歌山・小園健太ら前評判の高い高校生を競合覚悟で指名する可能性もある。あるいは智弁和歌山から関西学院大に進んだ左腕・黒原拓未らも1位候補に挙がりそうだ。
投手は何人いても困らないとはいえ、現有戦力から考えると即戦力より将来性を見据えた指名が現実的だろう。
左腕に比べて手薄な中継ぎ右腕、梅野隆太郎の後継者は?
続いてリリーフ陣を見ていこう。
クローザーに安定感抜群のスアレスがいるのは大きい。中継ぎも岩崎優と岩貞祐太の左腕に、2年目左腕の及川雅貴が台頭し、厚みを増している。
ただ、中継ぎ右腕は小野泰己や馬場皐輔、齋藤友貴哉、小川一平ら枚数はいるものの、安定感に欠けるのが実情だ。藤浪をセットアッパーで起用する案もあったが、現状のままでは心もとない。ドラフトだけでなく、トレード等も含めて中継ぎ右腕は今オフの補強ポイントのひとつと言えるだろう。
捕手は侍ジャパンの一員として東京五輪にも出場した梅野隆太郎が君臨している。
梅野は今季、国内FA権を取得したためオフの去就が注目されるが、残留すれば来季以降も不安は少ない。ただ、梅野に続く第2捕手を育てていく必要はある。原口文仁は代打の切り札的存在となっており、控え捕手には坂本誠志郎もいるが打撃面では多くを望めない。
市和歌山の松川虎生は高校通算42本塁打の「打てる捕手」候補。長期的スパンで大きく育てば梅野の後継者として期待できる逸材だ。
ショートに中野拓夢を固定も守備の不安拭えず
阪神の課題は失策の多さ。内野手は補強ポイントのひとつであることは間違いないが、今春キャンプでは川相昌弘臨時コーチを招いてレベルアップに取り組んだ。今後も鍛え上げていくのか、補強によって守備の不安を解消するのか、矢野燿大監督の方針にもよるだろう。
鳥谷敬がチームを去った後、木浪聖也、北條史也、小幡竜平らが守ってきたショートには今季、ルーキーの中野拓夢がスタメンでほぼ固定された。シュアな打撃で貢献しているが、守備面では失策が多く不安も残る。
セカンドは糸原健斗がレギュラーとして出場しているが、二遊間で右打ちの打者がいれば併用もしやすくなる。国士舘大の池田来翔はガッチリした体格で、DeNA・牧秀悟のように育つ可能性を秘める。
また、身長187センチのセガサミーの大型ショート・中川智裕も近大付高から近畿大と地元ひと筋で、佐藤輝明の先輩でもあるだけに面白い存在だろう。
外野は盤石も得点力アップへ強打者指名も選択肢?
最後に外野手を見ていこう。
センターは不動のリードオフマン・近本光司がいる。ライトも最近は不振とはいえ、佐藤輝明(登録は内野手)は実戦経験を積ませて育成する必要があるだろう。レフトは外国人に任せることが多く、今季はサンズが結果を残している。
売り出し中の小野寺暖や2019年に夏の甲子園で優勝した履正社高の4番・井上広大ら若手もいるだけに、急いで補強する必要性はなさそうだ。ただ、投手陣に比べると弱い打線の強化を狙うなら、ポジションが重なることを承知の上で、慶應義塾大の正木智也や駒澤大の鵜飼航丞、上武大のブライト健太らを指名する選択肢もある。
昨年は近畿大・佐藤輝明(現阪神)と早稲田大・早川隆久(現楽天)がともに4球団競合したが、今年は昨年ほど飛び抜けた目玉はおらず、高校生投手の評価が高い。1位指名を公言している球団も少なく、最後まで水面下の駆け引きが続きそうだ。
※表の年齢は2021年の満年齢、育成選手は含まない
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