顔ぶれ変わったパ・リーグ本塁打王争い
2021年のプロ野球もゴールが見えてきた。優勝争いとともに気になるのがタイトル争いだ。
パ・リーグの本塁打王は例年と様相が違う。今季大ブレイクしたオリックスの杉本裕太郎が28本塁打でトップ。ソフトバンクの柳田悠岐が27本塁打で2位につけているが、昨季本塁打王の楽天・浅村栄斗や2018、2019年のキング、西武・山川穂高の名前が上位になく、中田翔は巨人に移籍した。
そのためか、本塁打数はセ・リーグの上位より10本程度少ない。25本塁打で3位タイのロッテ・レアードやマーティンにもタイトルのチャンスは十分ありそうだ。
パワーでやや勝る杉本
高い身体能力を持つ柳田がパワーとスピードを兼ね備えた選手であることは有名だが、杉本はどんな特徴を持つのか。身長190センチ、体重104キロの巨体と「ラオウ」のニックネームやキャラクターばかりがクローズアップされ、打者としてのタイプが分析されることは少ない。
10月9日で33歳になる柳田の3つ下、30歳の杉本は、JR西日本から2015年ドラフト10位で入団して6年目。昨季まで通算9本塁打だったが、中嶋聡監督に見出されて素質開花した。
杉本と柳田をデータで比較してみよう。
2人のデータを比較すると、驚くほど近い数字が並んでいる。長打率は杉本が.566で柳田が.564、より純粋な長打力を示すIsoPは杉本が.257で柳田が.255だ。
本塁打を打つまでにかかる打数を示すAB/HRは杉本が14.9で、17.3の柳田をリード。フライに占める本塁打の割合を示すHR/FBも18.4%の杉本が、17.4%の柳田を上回っている。パワーでは杉本がやや上と見てよさそうだ。
選球眼では柳田が上回るもほとんど差なし
安打数は柳田が144本で杉本の129本を引き離しているように見えるが、柳田の方が打数が多いため打率はほとんど同じ(2毛差で杉本が上)。打点も1点しか違わない。
三振数も打席数の少ない杉本が102三振で、105三振の柳田より少ないが、三振を喫するまでにかかる打席数を示すPA/Kは、5.06の柳田が4.67の杉本より優秀だ。
四球は58個の柳田の方が47個の杉本より多く、「出塁率-打率」で算出され、選球眼を示すIsoDも.081の柳田が.079の杉本を上回っている。選球眼については柳田に一日の長がありそうだ。
とはいえ、出塁率は柳田が.390で杉本が.389、OPSも柳田が.954で杉本が.955とほとんど差はない。盗塁もトリプルスリーを記録したこともある柳田が今季は5個と少ないため、3盗塁の杉本と2個しか違わない。
データで比較する限り、確実性や選球眼で柳田にやや分があるものの、杉本も遜色のない高い数値を示している。どちらの選手が本塁打王に輝いたとしても自身初。キング争いは最後まで激しいつばぜり合いが続きそうだ。
※成績は10月2日現在
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