レアードは9月の打率.395、積極走塁も奏功
好調のロッテがパ・リーグ首位に浮上した。東京五輪中断明けの8月13日以降、なんと15勝6敗4分け。今季は開幕5連敗スタートし、6月下旬など5位に低迷していた時期もあったが、中断前の3位から後半戦の猛スパートで一気に駆け上がった。
チーム合計487得点、104本塁打はリーグ1位。チーム打率.252はオリックスと1毛差の2位だ。中でもレアードは9月の月間打率.395、3本塁打、11打点と絶好調。荻野貴司も.310、藤岡裕大も.400の月間打率をマークしている。
25本塁打のマーティンや23本塁打のレアードが目立つが、得点力を底上げしている走力も見逃せない。93盗塁はリーグ1位で、和田康士朗が22盗塁、荻野貴司が17盗塁、中村奨吾と岡大海が11盗塁、藤岡裕大が8盗塁と走れる選手が多い。安打だけでなく、リーグ2位の411四球を選んでおり、出塁すれば次の塁を狙う積極性が奏功している。
佐々木千隼はチームトップタイの8勝
チーム防御率は3.81でリーグ5位。規定投球回に到達している先発投手はいないが、中継ぎ、リリーフ陣の踏ん張りが大きい。6月にDeNAから有吉優樹との交換トレードで加入した国吉佑樹は、移籍後12試合登板で1勝1セーブ8ホールド、防御率1.50の好成績。9月は5試合に登板して無失点だ。
佐々木千隼は42試合登板で、岩下大輝と並んでチームトップタイの8勝(1セーブ18ホールド)を挙げており、防御率1.20をマーク。桜美林大時代、2016年ドラフトの外れ1位で5球団競合した右腕は、昨季までの4シーズンで計6勝どまりだったが、今季ようやく自分の居場所をつかんだ。
ストレートは平均139.8キロと決して速くないが、スライダー、シンカー、フォークをコーナーに投げ分ける。ストライクゾーンを9分割したSPAIAのデータを見ると、右打者、左打者ともに全体の60%前後は外角にコントロールできていることが分かる。
さらにハーマンは37試合登板で22ホールドをマーク。クローザーの益田直也も53試合で1勝4敗31セーブ、防御率1.79と好成績だ。鋭く落ちるシンカーを武器に、2013年以来となる最多セーブのタイトルを視界に捉えている。
シーズン1位で優勝なら1974年以来47年ぶり
レギュラーシーズン2位ながらプレーオフを勝ち上がって日本一に輝いた2005年(リーグ優勝扱い)、シーズン3位からクライマックス・シリーズ、日本シリーズを制した2010年の印象から、すっかり「下剋上」が定着しているロッテ。シーズン1位でゴールテープを切れば、1974年以来47年ぶりとなる。
当時のパ・リーグは前後期制で、前期を制した阪急と後期優勝のロッテがプレーオフで激突。金田正一監督率いるロッテが3連勝で年間優勝を決め、日本シリーズでも中日を4勝2敗で下し、日本一に輝いた。
今季は残り35試合。最短で16日にもマジック26が点灯する。4年目の井口資仁監督は青山学院大時代にアトランタ五輪で銀メダルを獲得し、ダイエー時代は日本シリーズ優勝、ホワイトソックスではワールドシリーズも制した勝ち運の持ち主だ。「下剋上」のイメージを覆し、その輝かしい球歴に監督として初めての優勝が加わるか。混戦のパ・リーグは最後まで目が離せそうにない。
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