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阪神首位奪還の陰の立役者・小川一平&岩貞祐太が魅せた「エグい1球」と「猛烈な勝ち運」

2021 9/7 11:00チャリコ遠藤
阪神タイガースの小川一平と岩貞祐太,ⒸSPAIA
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ⒸSPAIA

劇勝、激闘を呼んだブルペンの奮闘

3日から甲子園で行われた阪神―巨人の首位攻防3連戦は、2位だったタイガースが2勝1分で首位奪還に成功した。

2戦連続での逆転勝利で勢いに乗り、5日の第3戦は序盤で強いられた0―6の劣勢から相手のミスにもつけ込んで同点に追いつきドロー。矢野燿大監督の「勝ちに等しいような引き分け。2つ勝てたのも大きい」の言葉がすべてだろう。突き放しにかかったジャイアンツからすれば〝3連敗〟に限りなく近く、3試合で負ったダメージは小さくないはずだ。

立役者は、初戦の7回満塁機で勝ち越しの走者一掃適時三塁打を放った中野拓夢、第2戦に逆転サヨナラ2ランを叩き込んだ大山悠輔、渋い働きを見せた糸井嘉男と糸原健斗。鮮烈な印象を与えたのは野手陣で間違いないが、2戦目までの劇勝と3戦目の激闘を呼び込んだのはブルペン陣の奮闘に他ならない。

8月初昇格の小川が投げた〝エグい〟1球

5日の7回、直前の攻撃で4得点を挙げ2点差に迫った後、マウンドに上がったのは小川一平。2年目右腕は、先頭で対峙した岡本和真を内角のシュートで詰まらせ中飛に仕留めると、中島宏之も投前への力ないゴロと、この日いずれも左翼へ特大の一発を放っている中軸2人を封じ込めた。

最後は丸佳浩を高めの149キロ直球で空振り三振。直後、ベンチでは二塁から球筋を見ていた糸原が、あまりの球威に驚きの表情を浮かべて小川に声をかけていたようにも見えた。その言葉を想像するなら「エグいな」。確かに、記者席からでも凄まじいボールであることは分かった。

今季初登板の8月24日から6試合に登板し、5試合で無失点。結果を積み上げ、今後は勝ちパターンでの起用も出てきそうなパフォーマンスを見せている。「前の回に点が入ったので、何としても0点で抑えるという気持ちで投げました」。長く時間をかけた自軍の6回裏の攻撃に対し、14球で3人を料理した〝仕事の速さ〟も好リズムを生み、その後の同点劇を生み出した。

20代最後の2日間をフル回転した岩貞

そして、この3連戦で猛烈な「勝ち運」を発揮したのが岩貞祐太だった。初戦は2点差に追い上げた後の7回を投げ無失点に抑えると、一挙5得点で逆転に成功。2戦目は1点劣勢の9回を3者凡退で終え、大山の劇弾による逆転サヨナラ勝ちをアシストした。

2試合でいずれも勝利投手となった背番号17は、5日が30歳の誕生日。20代最後の2日間をフル回転でチームに貢献し「勝ちたいというその一心で投げた」と充実感を漂わせた。

現状、岩崎優、ロベルト・スアレスは盤石な一方で僅差の展開で投げる「7回の男」が不在。戦前は〝泣き所〟になると不安視されたポジションで、1戦目には岩貞、3戦目には小川が存在感を示した。

投手キャプテンを務める岩貞は当初、開幕からこの7回を任される構想があったものの、状態が上がらず2軍降格も経験。一方の小川は8月が初登板で、開幕からの快進撃には加わっていない。苦しんできた30歳が見せた意地と、チャンスに餓えた24歳が見せた爆発力。ジィアンツ、スワローズと三つ巴の優勝争いで、新戦力ともいえる存在が頼もしい。

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