次世代の4番確立が急務
9月5日試合終了時点で35勝49敗15分けと大きく負け越し、リーグ最下位に沈んでいる日本ハム。チームを長年にわたって牽引していた中田翔が巨人へ移籍し、次世代の4番の台頭がより一層求められる状況となっている。
非凡な長打力などポテンシャルの高さを感じさせる野村佑希をはじめ、高濱祐仁や万波中正、今季は1軍出場がなく2軍暮らしが続く清宮幸太郎など将来の4番候補はいるが、それぞれに課題を抱え、まだまだ時間がかかりそうだ。しかし、中田が抜けたことは逆にチャンスでもある。近い将来の中心打者として期待されるプレーヤーたちを検証する。
4番候補の最右翼は野村
まずは、現時点で最も4番に近いとも言える野村。中田翔の巨人へのトレードが発表された8月20日、本拠地札幌ドームでの楽天戦で、これからは自分がチームを引っ張ると言わんばかりに2本塁打を放つ活躍を見せた。1本目は楽天先発の田中将大から中堅へ運ぶ特大の一発。2本目は安樂智大から再び中堅へ豪快にたたき込んだ。
フォローが大きく、スケールの大きさを感じさせる打撃で、強さと柔らかさを兼ね備えていて広角に長打が打てる。打球方向データを見ると、中堅が最多の26%で、次に左中間の23%、続いて右中間19%、右翼17%で、最も少ないのが左翼の15%だ。ゾーン別データを見ると、内角低めの打率が.111、外角低めが.184と苦手としているが、真ん中は.550、外角中程は.412、内角中程は.294とベルトの高さ付近の球は打ち損じが少なく、甘い球は高い確率でとらえている印象だ。
内角打ちの上手さも際立つが、内角高めの打率は.333とハイアベレージを残しており、そのことを証明している。得点圏打率が.224と低く、守備力の向上も必要だが、ここ最近はコンスタントに安打をマークしており、今後数多く試合をこなしていく中でどんな数字を残せるか、どう成長していくかが楽しみなプレーヤーだ。
高いポテンシャルを垣間見せる高濱、万波
昨季は2軍で結果を残した高濱も今季、打席数は少ないながら.283、7本塁打、26打点と徐々に結果を残し始めている。最近の試合でもコンスタントに安打を重ねており、将来の中軸候補の一人だ。特に左投手に強く、対右投手の打率が.257である一方、対左投手では.344のハイアベレージを残す。
ゾーン別データを見ると、野村同様に真ん中が.522と強い一方で、内角高め、内角低めが打率1割台と苦手としており、際どいコースの見極めが課題だ。打球方向データを見ると、右中間が26%と最も多く、それ以外の方向にも万遍なく広角に打ち分けている。
一方、外角低めには強く、打率は.298。手を伸ばしてバットを合わせ、逆方向へ流し打つ打球も持ち味だ。西武の平良海馬の連続無失点記録を止めたサヨナラ打は、中堅の頭を越える豪快かつ殊勲の一打だった。
打率.196と確実性の面で課題があるが、底知れぬパワーが魅力の万波も将来の中軸候補。広角に打球を飛ばす野村や高濱とは違い、左中間への打球が34%、次が左翼の22%と引っ張る打球が多い。ゾーン別データを見ると、外角高め.091、真ん中高め.000、内角高め.000と高めに滅法弱く、まだまだ荒削りな部分が多い。しかし、打撃はもとより守備で時折見せる身体能力の高さは魅力十分だ。
今季チームは低迷し、主砲の中田も抜けたが、ある意味でチームを一新していくチャンスでもある。ポテンシャルの高い若手プレーヤーたちがどのような成長曲線を描いていくのか期待したい。
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