32試合連続無失点の外国人記録樹立したビエイラ
巨人のクローザー、チアゴ・ビエイラが連続試合無失点の外国人新記録を樹立した。
2日のヤクルト戦で9回に失点し、記録は「32試合」でストップしたが、2011年にソフトバンクのファルケンボーグが記録した31試合の外国人記録を更新。日本人を加えても平良海馬(西武)の39試合、藤川球児(阪神)の38試合、篠原貴行(横浜)の37試合、豊田清(西武)の34試合、比嘉幹貴(オリックス)の34試合に次ぐNPB歴代6位の記録となった。
今季序盤は安定感を欠き、5月4日に登録抹消されたが、同18日の一軍復帰以降は無失点を続けて首脳陣の信頼を取り戻した。9月4日の阪神戦では大山悠輔にサヨナラ本塁打を喫したものの、ここまで46試合登板で1敗16セーブ、防御率2.54と好成績を収めている。
中川皓太、デラロサをクローザーに固定できず
武器は何と言っても平均157.1キロのストレート。「最速」ではない。「平均」だ。
8月13日の中日戦では日本球界最速の166キロをマークするなど、ずば抜けたスピードボールを持つ。さらに平均140.5キロのスライダーは被打率.075と秀逸だ。
クローザーは巨人の懸案事項のひとつだった。最近10年のチーム最多セーブ投手が下の表だ。

2012年、2013年には西村健太朗、2015年、2016年には澤村拓一が2年連続30セーブ以上をマークしたが、最近3年間は20セーブ以下。2019年は中川皓太が中継ぎ、抑えとフル回転して67試合登板で16セーブを挙げたが、クローザーとして固定されることはなかった。
昨季はルビー・デラロサが17セーブを挙げたものの、今季はアメリカの市民権取得手続きで渡米するため4月に戦列を離れ、6月には左足の違和感で抹消されるなど、ここまで27試合登板で0勝0敗7セーブ8ホールドにとどまっている。
優勝争いが佳境に入ると、試合終盤でリードを確実に守り切るクローザーは不可欠。ビエイラが独り立ちしてくれたことは原辰徳監督も心強いだろう。
歴代最多セーブは角三男とマーク・クルーン
過去を振り返ると巨人には個性的なクローザーが多かった。

歴代最多セーブは角三男とマーク・クルーンの93セーブ。左腕の角はサイドスローに転向してから頭角を現し、1980年には8勝20セーブをマークして最優秀救援投手に輝いた。
クルーンは当時日本最速の162キロをマークした右腕で、横浜から移籍1年目の2008年には41セーブで最多セーブ。3シーズンで計6勝10敗93セーブ、防御率2.57の成績を残した。
81セーブで3位の西村健太朗に次ぐ4位は、80セーブの石毛博史。1993年に30セーブを挙げて最優秀救援投手に輝き、90年代前半のブルペンを支えた。
74セーブで5位の澤村拓一に次いで、6位に名を連ねるのが鹿取義隆だ。巨人時代はタイトルこそ取っていないものの中継ぎ、抑えとして活躍し、通算58セーブ。西武に移籍した1990年は24セーブを挙げて最優秀救援投手に輝くなど、引退までに通算91勝131セーブをマークした。
7位は完全試合を達成した最後の投手として有名な槙原寛己。キャリアのほとんどは先発だったが、現役晩年にクローザーを務めて1998年に18セーブ、1999年に23セーブを挙げるなど計56セーブを記録した。
8位は54セーブのスコット・マシソン、9位で40セーブの河原純一とアルキメデス・カミネロが並んでいる。
ビエイラはクローザーとして長く活躍できるだろうか。まずは今季最後まで安定感を維持することが求められる。
※成績は9月5日現在
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