最速158kmをマーク
ペナントレース後半に巻き返しを図りたいソフトバンクに、頼れる男が戻ってきた。ルーキーイヤーの2019年にチーム最多の65試合に登板、26ホールドを挙げ、日本一に貢献したリリーバー・甲斐野央だ。
昨年2月の春季キャンプで右肘痛を発症し、同年は1軍での登板はなし。12月に手術してリハビリを続け、7月14日に今季初昇格を果たしていた。今のところ公式戦での登板はないが、7月27日のDeNAとのエキシビジョンマッチで2点リードの9回にマウンドへ。細川成也には一発を浴びたものの、最速158kmの力のある直球を軸に持ち味である攻めの投球を見せ、得意のフォークで2つの空振り三振を奪った。
圧巻は8月5日の巨人とのエキシビジョンマッチ。前日の試合でも投げており、連投であることも注目されたが、先頭の香月一也からフォークで空振り三振を奪うと、続く松原聖弥、若林晃弘もフォークで三振。直球も最速157kmをマークするなど復活をアピールした。守護神の森唯斗の復帰時期が見えない中、甲斐野の戦線復帰は後半戦の巻き返しを図るチームにとって大きい。
投球フォームをモデルチェンジ
注目すべきは投球フォーム。以前よりもテークバックが随分と小さくなり、球をリリースする位置も打者に近くなった。パッと見た瞬間は、まるで別の投手が投げているかのようなモデルチェンジだ。
腕の振りはコンパクトになったが、前述した通り、直球は150km中盤をコンスタントにマークするなど球速に陰りは見えない。体の中心軸をクルッと回転させて球にうまく力を伝えている。
フォームが変わって球持ちも良いため、対戦経験のある打者は以前の甲斐野のイメージを忘れてゼロからインプットしなければならない。リニューアルしたフォームは肘への負担を和らげるほかにも、打者を幻惑するなど様々なメリットを生みそうだ。
奪三振能力は健在
走者を背負った状態でマウンドに上がることも多いリリーバーには、必然的に奪三振能力が求められる。直球でもフォークでも空振りがとれる甲斐野にとっては、最適なポジションだろう。
今季はファームで13試合に登板(投球回13)し、奪三振率10.38と優れた数値をマークしている(2019年は1軍で11.20)。エキシビジョンマッチで見せた鋭く落ちる140km台前半のフォークでは、打者のバットが面白いように空を切り、伝家の宝刀の健在ぶりを見せつけた。
肘を手術した影響も加味し、まずはなるべく連投を避けるなど慎重な起用となるだろうが、ブルペンに甲斐野が戻ってきたことはこの上なく大きい。新たなフォームとなった甲斐野の球がシーズンでどれくらい通用するか、注目していきたい。
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