憧れの森選手のミットめがけて渾身の一球
今年1番の暑さだったように思えた。ジリジリと照りつける太陽が眩しい。そんな埼玉の地では7年ぶりに〝球宴″が開催された。選ばれし12球団代表の選手たち、各球団のマスコットそしてファンの方が見守る大舞台で始球式を務めたのは、ライオンズアカデミー生総勢520人のなかから選ばれた小林叶人(こばやし かいと)くん、小学4年生だ。
叶人くんはお父さんの影響で小学1年生のときに野球を始め、ポジションはこれまでキャッチャー一筋。憧れだという森友哉に少しでも近づこうと左打ちにまで変えたそうだ。大舞台のマウンドに立つ吉報が届いたときは「本当の話か分からなかった」と振り返るようにまだ夢の中にいた。
登板の約1時間前には、ライオンズトレーニングセンター(室内練習場)を特別に貸し切って特訓を行った。〝叶人のために″-そう思った宮田和希アカデミーコーチは、何か少しでも力になりたいと特訓の場に駆け付けた。力強く1球1球投球練習を重ねる叶人くんに寄り添って、「軸足でしっかりと立つ・絶対にストライクが入るというポジティブな気持ち・笑顔を忘れずに楽しむ」という3つのアドバイスを送ると叶人くんからも笑みがこぼれた。
特訓を終えてドームに移動すると、緊張はどんどん高まっていった。ついにマウンドに立つと「頭が真っ白になった」と振り返った。一方で、「僕はいま、すごい場所に立っているんだな」。球界を代表する選手達に囲まれながら、そして大ファンであり目標とする森のミットをめがけて投げた渾身の一球は見事グラブの真ん中におさまった。
球を受けた森は「小学校4年生としてはすごくいい球を投げていましたね。きっとたくさん練習しているんだと思います。これからもがんばってください!」とメッセージを送った。
叶人くんの堂々たるピッチングを見守っていた、宮田コーチは「見ている僕が緊張したけど、落ち着いてしっかり投げていたので立派でした。1000点、いや10000点あげたいです!笑」と太鼓判を押した。
叶人くんは、始球式を終えたあとに「大きくなったら埼玉西武ライオンズに入団して、同じグラウンドで森選手とプレーしたいです」と力強く誓って球場を後にした。
(西武ライオンズ提供)
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