長身から投げ下ろすストレートは魅力十分
19歳の宮城大弥やプロ6年目の30歳・杉本裕太郎ら新戦力の台頭が著しいオリックスで、次なるブレイク候補は誰だろうか。投手と野手1人ずつ挙げるなら、2020年ドラフト1位の山下舜平大と同3位の来田涼斗を推したい。
山下は身長189センチ、体重93キロの恵まれた体格から投げ下ろす150キロ超のストレートが最大の魅力。福岡大大濠高時代はコロナ渦で甲子園が中止となったため、高い素質を披露する機会が少なかったが、早くから注目を集める存在だった。
昨年のドラフトは4球団競合した佐藤輝明(阪神)の外れ1位。高校時代はストレートとカーブしか投げておらず、入団会見では「165キロを目指して練習する。球界を代表する投手になって沢村賞を狙いたい」と高い目標を掲げた。
それでもビッグマウスと受け取る人間はいない。ひょっとしたら実現するかも…と思わせるだけの素材なのだ。
ゆったりしたフォームから力みなく、バランスよく投げる姿は、どこか大谷翔平に似ていなくもない。ゆっくり投げているように見えるのに、ボールは勢いを失うことなく伸びていく。山下の前だけは引力がないかのように錯覚させるほど、そのスピードボールは魅力的だ。
宮城大弥に負けない大器
舜平大は経済学者のヨーゼフ・シュンペーターが由来という。だからという訳ではないが、言葉を選びながら訥々と話す姿は知性を感じさせる。その辺りも大谷と共通する野球脳の持ち主と言うと褒め過ぎだろうか。
ウエスタン・リーグでは9試合に登板して1勝5敗、防御率4.83。まだプロの壁にぶつかって、もがいている段階だろう。
1年先輩のドラフト1位・宮城は、2020年にウエスタン・リーグで13試合に登板し、6勝2敗、防御率2.72だった。そこから今季の大ブレイクにつなげたのだ。
山下はもう少し時間はかかるかも知れないが、宮城に負けない大器であることは間違いない。山本由伸や宮城、山岡泰輔、田嶋大樹らとともに近い将来、オリックスが「投手王国」と呼ばれる日が来るかも知れない。
来田涼斗はウエスタンで最多安打
もう一人、野手のブレイク候補は山下と同期生のドラフト3位・来田涼斗だ。明石商時代は2年春のセンバツ準々決勝・智弁和歌山戦で先頭打者本塁打とサヨナラ本塁打を放つ離れ業を演じた。
俊足強打の左打ち外野手で、ウエスタン・リーグでは64試合に出場してリーグ最多の62安打をマーク。打率.266、1本塁打、22打点、5盗塁の成績を残している。大きく育てる球団の方針もあって、安打数より多い67三振を喫しているが、それでも力強いスイングに将来性を感じさせる。
兵庫県神戸市出身で幼い頃からほっともっとフィールド神戸に通ったオリックスファン。目標に掲げるのは一軍の打線を引っ張る、同じ左打ちの吉田正尚だ。入団会見で将来はトリプルスリーを狙うと明言したが、あながちオーバーとも思えない素質を秘めている。
6月の月間MVPを受賞した杉本裕太郎以外にも、19歳・紅林弘太郎や20歳・太田椋、25歳・宗佑磨ら野手の新戦力も次々に台頭しているオリックス。来田が中軸を担う頃には最強打線が完成しているかも知れない。
※成績は7月7日現在
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