3番・吉田正尚、4番・杉本裕太郎の前でチャンスメーク
首位を走るオリックスは、今季9勝を挙げている19歳左腕の宮城大弥や18本塁打を放っている「ラオウ」こと杉本裕太郎ら新戦力が台頭している。その中で負けじと存在感を放っているのが横浜隼人高から2014年ドラフト2位で入団して7年目の25歳・宗佑磨だ。
開幕一軍入りした今季は、5月3日の西武戦で1987、88年の屋鋪要氏(大洋)以来33年ぶりとなる2年連続ランニング本塁打を放ったかと思えば、翌4日は4打席連続四球を選ぶなど、話題になる活躍で5月の月間打率.318をマーク。6月は調子を落としたが、7月に入って打率.417と再び上昇気流に乗っている。
ここまで77試合に出場して打率.263、5本塁打、21打点、5盗塁。特筆すべきは12球団断トツトップの12死球だ。
18四球はパ・リーグの規定打席到達者でワースト2位の少なさだが、それでも体を張り続けたおかげで出塁率は.344。最近は2番で起用されることが多く、打率リーグ1位の吉田正尚、同2位の杉本裕太郎の強力3、4番の前でチャンスメークしている。
高い身体能力に経験がプラス
ギニア人の父と日本人の母の間に生まれ、身体能力の高さは折り紙付き。50メートル5秒8の俊足を誇り、サードの守備範囲は広く肩も強い。本職以外にファーストや外野もこなす器用さも併せ持っている。
ストライクゾーンを9分割したSPAIAのゾーン別データでは、内角低めは打率.381、外角低めも.310など、どのコースも苦にしない対応力が浮き彫りになっている。
走攻守ともに高い能力を持ち、そこに「経験」が加われば、大化けの可能性を秘める。中嶋聡監督の積極起用によって、その可能性が膨らんでいると言えるだろう。
シーズン最多はラロッカの28死球
シーズン序盤に注目された内野手は、2019年ドラフト2位の19歳・紅林弘太郎や2018年ドラフト1位の20歳・太田椋だった。宗はそんな状況を打破し、自らの力でレギュラーを勝ち取った。
12球団最長ブランクの1996年以来25年間、優勝から遠ざかるオリックス。雨後の筍のように若手が出てくる今のチームは強いはずだ。まだまだ優勝争いの行方は分からないが、宗にとって2021年が「当たり年」であることは間違いない。
ちなみにシーズン最多死球は2007年にグレッグ・ラロッカ(オリックス)が記録した28。さすがの宗もそこまでは当たらないか…。
※成績は7月6日現在
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