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100勝超えのNPB記録ペースで快走する阪神 好調支える打線の記録更新狙えるか

2021 4/27 11:00勝田聡
首位を快走する阪神・矢野監督ⒸSPAIA
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ⒸSPAIA

球団記録の87勝更新も視野

プロ野球が開幕してから1ヶ月ほど経過した。セ・リーグでは阪神が開幕ダッシュに成功。4月25日終了時点で25試合を消化し18勝7敗、勝率.720の成績で2位ヤクルトに3ゲーム差をつけ首位を走っている。

現在の勝利ペースを143試合に換算すると103勝になる。NPBにおけるシーズン最多勝利は1955年に南海が記録した99勝(41敗3分)。セ・リーグ記録は1950年松竹の98勝(35敗4分)となっており、現時点では両記録のペースを上回っている。

NPB新記録となる100勝に到達するには、残り118試合で82勝が必要となる。引き分けが0試合だった場合、118試合を82勝36敗で届くわけだが、勝率は.695と現在のペースより鈍化する。とはいえ、この勢いのままシーズンを走り抜けるのは容易ではなく、夢のシーズン100勝はかなりハードルが高い。

一方で阪神の球団記録は、リーグ優勝を果たした2003年と2005年に記録した87勝。これは残り118試合を70勝48敗、勝率.593で消化すれば更新することができ、現実的な数字だ。セ・リーグで87勝以上を記録し優勝できなかったのは、松竹が98勝を挙げた1950年の中日(89勝)だけ。球団記録更新となれば、優勝は堅いだろう。

現在リーグトップの本塁打は球団記録に届くのか

ここまでの阪神のチーム成績を見ると、防御率2.71、打率.264、123得点、29本塁打の4つの項目でリーグトップとなっている。昨シーズンもチーム防御率は3.35のリーグ2位で、トップの巨人との差はわずか0.01だった。

大きく変化したのは打撃面の数字だ。昨シーズンの阪神はチーム打率.246(5位)、494得点(4位)、110本塁打(4位タイ)と各項目がいずれもリーグ4位以下だった。それが今季は大きく改善されている。

特に大きいのが本塁打だろう。現在、サンズ(7本)、佐藤輝明(6本)、マルテ(6本)、大山悠輔(4本)と主に3番から6番を任されている主軸が、セ・リーグ本塁打ランキングでベスト10入り。セ・リーグで4本塁打以上を放っている選手は11人いるが、そのうち4人が阪神勢となっている。もともとの投手力を維持した上で、長打力を中心に打線が強化されたのだから、首位を快走しているのも納得だ。

ここまでの123得点、29本塁打という数字は、シーズン記録という意味ではどうだろうか。143試合に換算すると、それぞれ704得点、166本塁打となるが、NPB記録はそれぞれ908得点(1950年/松竹)と259本塁打(2004年/巨人)で届きそうもない。阪神の球団記録はというと、それぞれ766得点(1950年)と219本塁打(1985年)でこちらも更新は容易ではなさそうだ。

再認識する219本塁打の凄さ

219本塁打を記録した1985年は、球団史上唯一の日本一を達成した年だ。219本の内訳を見ると、バース(54本)、掛布雅之(40本)、岡田彰布(35本)、真弓明信(34本)の4人が30本の大台を超えた。この4人で163本塁打を叩き出している。

その他にも木戸克彦(13本)と佐野仙好(13本)のふたりが2桁本塁打を記録しており、都合6人が2桁本塁打を達成していた。さらにそれ以外の選手たちでも、合計30本塁打を記録している。

今年に当てはめるとサンズ、マルテ、佐藤、大山の4人が30本塁打に到達するのは最低条件で、そのうちふたりは40本塁打以上が必要だ。そして糸原健斗や梅野隆太郎、近本光司といった長距離砲ではないレギュラー選手たちも2桁本塁打を記録し、その他の選手たちの底上げも必須となる。それが球団最多本塁打への道のりで、なかなかに険しいことがわかる。

ラッキーゾーンの恩恵を受けていたとはいえ、あの1985年の猛虎打線の本塁打数には、今年の打線でも遠く及ばない。しかも当時は143試合制ではなく130試合制。その破壊力の凄まじさがうかがえる。

ちなみにラッキーゾーンが撤去された1992年以降では、2010年の173本塁打が最多。先に触れたが現在は166本塁打ペースであり、こちらの更新は射程圏内だ。

ここから先、阪神はこのままの勢いを保ち、勝利数や本塁打の球団記録更新、さらには16年ぶりのセ・リーグ制覇となるだろうか。2021年型猛虎打線から目が離せない。

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