千賀滉大、森唯斗、東浜巨が軒並み故障
日本シリーズ4連覇中のソフトバンクが苦境に立たされている。5月3日からの楽天3連戦は1勝1敗1分けの五分だったものの、それまでのロッテ、日本ハム、オリックス戦は3カード連続負け越しだった。
昨季、最多勝、最優秀防御率、最多奪三振に輝いたエース千賀滉大が4月6日の日本ハム戦で左足首を痛めて全治2、3カ月と診断され戦線離脱。クローザーの森唯斗も左肘痛で4月30日に登録抹消された。2017年の最多勝右腕・東浜巨も二軍調整中と、柱となるべき投手が軒並み故障を抱えている。
昨季12球団1位の2.92だったチーム防御率は、現在リーグ3位の3.59。田中将大の復帰や昨秋ドラフトの目玉だった早川隆久が加わって首位を走る楽天が、チーム防御率もリーグ1位の3.23をマークしている。
それでもソフトバンクが1ゲーム差の2位につけているのは、リーグ1位のチーム打率.266をマークしている打線だけでなく、嘉弥真新也、泉圭輔、津森宥紀、岩嵜翔、髙橋純平、モイネロら中継ぎ、リリーフ陣の踏ん張りによるところも小さくない。
実際、個人で最も勝ち星を挙げている投手は武田翔太と和田毅の2勝。大黒柱が不在でも、つないで、しのいで星を拾っているのだ。9回打ち切りの特別ルールも追い風と言えるだろう。
嘉弥真、泉、津森、岩嵜、髙橋純平、モイネロらが奮闘
嘉弥真はJX-ENEOSから入団10年目のサイド左腕。全体の64％を占めるスライダーをコーナーに投げ分ける。昨季まで4年連続50試合以上登板のタフネスを誇り、今季もすでに18試合に登板して1勝6ホールドをマークしている。
泉圭輔は金沢星稜大から入団3年目。188センチの長身から平均球速148.7キロのストレートを投げ下ろす右腕だ。40試合に登板して防御率2.08だった昨季に続き、今季もすでに17試合登板で4ホールドを挙げている。
津森宥紀は東北福祉大から入団2年目のサイドスロー。昨年6月21日のロッテ戦でプロ初登板し、最初の打者だった井上晴哉にいきなり満塁本塁打を浴びる史上初の屈辱を味わったが、今季はすでに16試合に登板して1勝3ホールドをマークしている。
岩嵜翔は市立船橋高からドラフト1位で入団して14年目の右腕。平均152.2キロのストレートと140.4キロのフォークを武器に、2017年に72試合登板の実績を持つ。今季すでに16試合登板で1勝（1敗）8ホールドをマークしている。
県岐阜商からドラフト1位で入団して6年目の髙橋純平は平均149.4キロのストレート、137.3キロのスライダー、138.3キロのフォークと球種は少ないが、今季は10試合に登板して1勝（1敗）2ホールドの成績を残している。
キューバ出身のモイネロは来日5年目の今季も12試合に登板して2セーブ6ホールドをマーク。森の離脱後はクローザーの代役を務め、5月4日の楽天戦では最終回を3人で締めた。他にも三菱重工広島から入団3年目の右腕・杉山一樹や、秀岳館高から入団4年目の左腕・田浦文丸らが献身的な働きを見せている。
二軍ではリチャード、三森大貴らがスタンバイ
打線は打率.3131の甲斐拓也から.3129の栗原陵矢、.303のグラシアル、.297の柳田悠岐とリーグ4位から7位までソフトバンク勢が並ぶ。チーム打率だけでなく、311安打、33本塁打、152得点も全てリーグ1位（得点はロッテとタイ）だ。
5月5日の楽天戦では、同3日に一軍昇格したばかりの上林誠知が、1号2ランを含む5打数3安打4打点と大活躍した。
さらにファームでは、昨季ウエスタン・リーグで12本塁打、47打点をマークして二冠に輝いた高卒4年目のパワーヒッター、リチャードが今季も7本塁打、24打点で両部門トップ。昨季ウエスタンで打率.323をマークして首位打者に輝いた高卒5年目の三森大貴も28安打でリーグ3位と、一軍昇格をうかがう若手が控えている。
仮にケガ人が出ても穴を埋める若手が続々と出てくるところにこそ、ソフトバンクの強さがある。首位の楽天でさえ貯金5、最下位の日本ハムでも首位まで5.5ゲーム差しかない。ソフトバンクの苦境が今季のパ・リーグを面白くしている。
※成績は2021年5月6日現在
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