村上がチームを引っ張る一撃
開幕早々、ヤクルトが窮地に立たされている。正捕手を争っている西田明央が3月31日に新型コロナウイルスの陽性判定を受けたことで、主力選手の一部がチームを離れているからだ。
4月4日時点では、西田の他に濃厚接触者とされる青木宣親、内川聖一、川端慎吾の3人が自宅隔離となっている。球団の発表によると、4月13日までは自宅待機となるようだ。その後調整が必要なことを考えると、スタメンへ戻ってくるまではさらに時間がかかるだろう。
これだけ主力が離脱となれば、チームは負けが続き低空飛行となってもおかしくない。だが、ヤクルトは3月31日からの5試合で2勝2分1敗とそれまでの1勝3敗よりも、むしろ好成績を残している。
そんなチームを引っ張るのが4番の村上宗隆だ。3月31日からの5試合で3本塁打を記録。4月1日の巨人戦後には、「僕がしっかりしないといけない」と21歳ながら貫禄のあるコメントを残している。
村上に続くのが塩見泰隆と山崎晃大朗。年齢的にも脂が乗ってくる27歳コンビは、打撃面で結果を出している。なかでも山崎は3月31日、4月1日と2試合連続で猛打賞を記録。これはキャリア初のことだった。
両選手とも相手先発投手との兼ね合いもあり、打順は固定されていない。だが、3番や5番といった中軸を任される試合もあることから、高津臣吾監督からの信頼がうかがえる。
太田賢吾や武岡龍世ら、控え&若手組はチャンス
虎視眈々と一軍定着、そしてレギュラーをうかがうのが、太田賢吾と松本友である。開幕から一軍に名を連ねている太田は、3月30日までは無安打だったが、主力離脱後から快音が響き出し、5試合中4試合で安打を放った。また、代替選手として昇格を果たした松本も2試合でスタメン起用され、両試合とも第1打席で安打を記録している。
内川の代わりとして一塁で起用されている2人は、打撃面だけでなく複数のポジションを守れる強みもある。すでに太田は一塁と右翼でスタメン起用された。松本は一塁のみの出場だが、二軍では外野も守っている。場合によっては外野の守備につくことがあるかもしれない。
高卒2年目コンビの武岡龍世と長岡秀樹も代替選手として一軍昇格となった。4月2日までは、関東圏で行われた二軍のデーゲームに出場してから、一軍の試合会場へと駆けつけた。ハードなスケジュールではあるが、この2週間ほどで結果を残すことができれば、一軍に定着する可能性も十分にある。
そんな中、武岡は4月3日の巨人戦に「1番・二塁」でスタメン出場を果たす。第1打席では戸郷翔征から安打を放ち、その後村上の本塁打で先制のホームを踏んだ。一方の長岡はスタメン起用こそないものの、ここまで2試合に出場。なんとか爪痕を残そうとしている。
西田、青木、内川、川端。チームにとって主力の欠場は、大きな痛手であることは間違いない。しかし、レギュラーを狙う中堅やユーティリティー、そして次世代の若手たちにとってはまたとないチャンスでもある。
代役として出場している彼らが結果を残すことができれば、主力組が戻ってきたとき競争になり、それがチーム力の底上げにも繋がってくる。ヤクルトにとって、そして選手たちにとって苦しい期間が「怪我の功名」となることに期待したい。
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