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メジャーも注目の広島・鈴木誠也は新打法で6年連続3割25本塁打なるか

2021 3/28 06:00占部大輔
広島・鈴木誠也ⒸSPAIA
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ⒸSPAIA

球団史に名を刻む5年連続ベストナイン&OPS.900以上

昨季、5年連続のベストナインに輝き、山本浩二、正田耕三、前田智徳という広島の名だたるレジェンドの記録を更新して球団史上初の5年連続3割を達成した鈴木誠也。さらに25本塁打を放ち、元巨人・王貞治、元ロッテなどの落合博満、元日本ハムなどの小笠原道大に並ぶプロ野球史上4人目となる「5年連続打率3割25本塁打」も達成した。

コロナ禍の中、故障者も相次ぎ、決して楽ではないシーズンだったが、背番号1は周囲からの期待にしっかり応えた。メジャーリーグのスカウトからもその注目度は高まるばかりで、各方面で「メジャーリーグで最も活躍が期待される日本人野手」として取り上げられている。

注目度が高まっている背景として、鈴木のOPSの高さが挙げられるだろう。OPSとは、On-base Plus Sluggingの略で出塁率+長打力によって求められる打席での貢献度を示す指標である。

.900を超えれば超一流と言われるOPS。鈴木はブレイクした2016年から5年連続で.900以上を記録し、2016年、2018年、2019年は1.000を超えている。

苦手なコースが少ないというのも鈴木の凄さのひとつだ。昨季のゾーン別データ(SPAIA参照=https://spaia.jp/baseball/npb/player/1200069)によると、内角高め以外、目立って不得意なコースは見当たらない。9分割のコースのうち5コースで打率3割を超え、投手側はどこに投げても打たれるという印象を持つに違いない。

広島・鈴木誠也のゾーン別データ


しかし、弱点がないわけではない。空振り時のヒートマップから、鈴木の攻め方の手掛かりが見えてくる。

広島・鈴木誠也のヒートマップ


左投手の場合は真ん中低めやや外寄りのボール球に、右投手の場合はアウトコース低めのボール球によく空振りをしている。広島の主砲に低めのボール球で空振りを誘うためには、打率.091と苦手にしている内角高めとの対角線の組み合わせで攻めるのが有効と見られる。

とはいえ、日の丸を背負う4番としても不動の存在である球界屈指の強打者だ。今季も圧倒的な打撃力で、他球団の脅威になることは間違いないだろう。

オープン戦で新打法に手応え

今季から新打法に取り組む鈴木。さらなる高みへ余念はない。2月27日に沖縄で行われた巨人戦では、右膝に死球を受け負傷交代。怪我の状態が危ぶまれたが、順調に回復し3月のオープン戦では、ハツラツとプレーする姿が確認できた。

オープン戦中もコンディション不良で欠場する場面もあったが、疲労回復が目的の休養であったと首脳陣は語っている。3月20日にペイペイドームで行われたソフトバンク戦では、オープン戦初打点を記録。新打法に確かな手応えを感じている様子だった。

今季オープン戦は、9試合で打率.294、出塁率.478と上々の調整ができたが、左足の上げ方やテイクバックの取り方など、新打法の答えはまだ出ていない。シーズン中も試行錯誤は続く。

昨季打率.314、8本塁打、OPS1.067の“お得意様”中日

今季最初の対戦カードとなる中日は、鈴木にとってお得意様だ。昨季は23試合で打率.314、8本塁打をマーク。OPSは対戦チームでトップとなる驚異の1.067を記録している。チーム対戦成績も13勝10敗1分けと勝ち越しており、相性は抜群だ。

27日の開幕2戦目では中日の先発・柳裕也から今季初タイムリーを含む2安打1打点をマークした。仮に6年連続3割25本塁打を達成すれば、王、落合に続いて史上3人目の偉業となる。新打法を備えた広島の4番は今季も頼りになりそうだ。

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