球団史に名を刻む5年連続ベストナイン&OPS.900以上
昨季、5年連続のベストナインに輝き、山本浩二、正田耕三、前田智徳という広島の名だたるレジェンドの記録を更新して球団史上初の5年連続3割を達成した鈴木誠也。さらに25本塁打を放ち、元巨人・王貞治、元ロッテなどの落合博満、元日本ハムなどの小笠原道大に並ぶプロ野球史上4人目となる「5年連続打率3割25本塁打」も達成した。
コロナ禍の中、故障者も相次ぎ、決して楽ではないシーズンだったが、背番号1は周囲からの期待にしっかり応えた。メジャーリーグのスカウトからもその注目度は高まるばかりで、各方面で「メジャーリーグで最も活躍が期待される日本人野手」として取り上げられている。
注目度が高まっている背景として、鈴木のOPSの高さが挙げられるだろう。OPSとは、On-base Plus Sluggingの略で出塁率+長打力によって求められる打席での貢献度を示す指標である。
.900を超えれば超一流と言われるOPS。鈴木はブレイクした2016年から5年連続で.900以上を記録し、2016年、2018年、2019年は1.000を超えている。
苦手なコースが少ないというのも鈴木の凄さのひとつだ。昨季のゾーン別データ(SPAIA参照=https://spaia.jp/baseball/npb/player/1200069)によると、内角高め以外、目立って不得意なコースは見当たらない。9分割のコースのうち5コースで打率3割を超え、投手側はどこに投げても打たれるという印象を持つに違いない。
しかし、弱点がないわけではない。空振り時のヒートマップから、鈴木の攻め方の手掛かりが見えてくる。
左投手の場合は真ん中低めやや外寄りのボール球に、右投手の場合はアウトコース低めのボール球によく空振りをしている。広島の主砲に低めのボール球で空振りを誘うためには、打率.091と苦手にしている内角高めとの対角線の組み合わせで攻めるのが有効と見られる。
とはいえ、日の丸を背負う4番としても不動の存在である球界屈指の強打者だ。今季も圧倒的な打撃力で、他球団の脅威になることは間違いないだろう。