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コロナ禍のプロ野球キャンプ取材 徹底した感染対策、例年との違いに苦悩も

2021 3/6 11:00SPAIA編集部
巨人キャンプ地の正面入り口に掲げられたメッセージボードⒸSPAIA
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ⒸSPAIA

各球団、徹底した感染対策

ようやく寒さも和らいできた3月。プロ野球ではオープン戦も始まり、開幕投手が発表されるなど、いよいよ開幕を見据えた最終調整の時期に入ってきた。

しかし、ここまでの道程は例年とは異なるものだった。コロナ禍の影響で、全球団が無観客開催と静かな幕開けとなった春季キャンプ。感染拡大を防ぐため、各球団徹底した管理体制のもとでの球春到来となった。

練習見学自粛の張り紙

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それは我々取材をする側も同様だ。SPAIA編集部では、毎年この時期に各キャンプ地を訪れている。だが、今年はいつもと勝手が違う対応を迫られ、戸惑いながらの取材となった。

まず、球場での受付時から例年とは違う。手の消毒と検温をしてから、その日の取材が始まる。すでに日常化していることではあるが、昨年はまだ実施されていなかったこと。改めて環境が変わったことを取材前に実感する。

入口前に設置された自動消毒器と検温器

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受付を終え、いざ取材へとなるところだが、今年はその動線が昨年までと違う。選手との接触をできる限り避けるため、選手と報道陣のエリアは完全に区分けされていた。受付場所や入場口自体、例年と異なる球団もあったほどだ。

取材エリアもかなり限定された。昨年まではベンチ前のグラウンドまで入ることが許される球団が多かったが、今年はベンチの中まで。これはいい方でベンチにすら入れず、スタンドからの取材のみとする球団の方が多かった。

また、監督や選手の会見も、球団から許可された一部の記者のみが取材を行う形がとられ、密な状態をつくらないよう配慮がなされていた。

各球団のルールに差、食事面でも一苦労

ここまで例年と大きく異なる場面を挙げてきたが、実は事前準備が一苦労だった。コロナ禍のため各球団規制が厳しくなることは予想していたが、そのルールが球団によって違ったのだ。今年は5球団を回ることを予定していたため、そのルールを整理し、事前に頭に入れておく必要があった。

また、事前のPCR検査が必須とされていたのだが、これも対応が球団によってまちまちだった。特に、陰性証明の有効期間の違いには悩まされた。キャンプ訪問日時を調整する必要があったり、フライトの数日前に受診せざるを得なかったりと腐心した。

無事に陰性だったため予定通り取材に赴くことができた。もし陽性判定が出ようものなら、これまでの準備が無駄となるため、検査結果判明日はハラハラしたことを覚えている。

困ったことといえば、現地での食事も。昨年までは球場の周りにキッチンカーなどの出店があり、取材の合間に立ち寄ることができた。だが、今年は無観客開催なので当然なし。初日は空港から直行したこともあり、空腹に耐えながらの取材となった。

幸い朝食付きでホテルを予約していたので、2日目以降は対策を講じることができた。昼食をとらずに済むよう、朝食でその日の腹ごしらえをして取材に臨んだ。ただ、現地ならではの雰囲気を楽しめ、酷使した身体を休める一時の休息の場がなくなってしまったのは残念だった。

無事開幕することを願って

今年は規制も厳しく、例年以上に難しいキャンプ取材となった。だが、これもプロ野球という1つの興行を成立させるため。各球団、各担当者が綿密に計画した感染対策が功を奏し、大きな混乱もなく無事に全球団キャンプを打ち上げることができた。

ただ、無観客という光景には寂しさも感じた。プロの練習を一日中眺めていられるのはキャンプならでは。それを楽しみにしていたファンも多いはずだが、今年は残念ながら叶わなかった。それでも、首都圏を除き緊急事態宣言が解除され、日常が戻りつつある。オープン戦でも観客を入れて試合が行われている。

昨年は開幕が約3か月遅れ、無観客開催となった。今年はこのまま無事開幕を迎えること、この大変だった春季キャンプを笑顔で振り返れるシーズンとなることを願ってやまない。

ランニングする広島カープの選手たち

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