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社会人ドラ1投手が即戦力で活躍する条件とは オープン戦4試合以上の登板がカギ?

2021 2/27 11:00勝田聡
広島の栗林良吏ⒸSPAIA
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ⒸSPAIA

1年目に新人王は石川歩のみ

今年も多くの新人がプロ野球の世界に飛び込んだが、なかでも注目されるのがドラフト1位ルーキーだ。特に大卒や社会人出身の選手たちは、早い段階から一軍で戦力となることが求められる。

その即戦力候補のドラ1たちはオープン戦、そして1年目のシーズンにどのような成績を残してきたのだろうか。今回は2011年のドラフト以降に入団した社会人出身投手について、振り返ってみたい。

2011年から2019年のドラフト会議で、1位指名された社会人出身投手は17名。増田達至(NTT西日本→西武)や石山泰稚(ヤマハ→ヤクルト)、石川歩(東京ガス→ロッテ)、山岡泰輔(東京ガス→オリックス)と、主力としてチームを支える投手も多い。

ただ、新人王を受賞したのは2014年に唯一2ケタとなる10勝を挙げた石川のみ。他の選手とのめぐり合わせもあるが、即戦力を期待される社会人出身でも、1年目に新人王を受賞するのは簡単なことではないようだ。

オープン戦未登板も好成績残した宮川哲と増田達至

では、実際に1年目のオープン戦と公式戦の成績を見ていこう(下表)。

社会人出身ドラフト1位投手の1年目成績ⒸSPAIA


社会人出身のドラ1ともなれば、オープン戦から登板機会が与えられるイメージだが、実際に登板したのは17名中11名の64.7%。故障やチーム方針など様々な理由があるのかもしれないが、思ったより低い数字となっている。

昨年も宮川哲(東芝→西武)が春季キャンプ中に右太腿の張りの影響で、オープン戦での登板がなかった。しかし、シーズン中は中継ぎの一角として49試合に登板し、まずまずの成績を残している。宮川と同じく西武の増田も1年目の春季キャンプ中にB班(二軍相当)に降格。オープン戦での登板はなかったが、シーズン中は42試合に登板し防御率3.76の成績を残した。

だが、その他のオープン戦登板なしだった投手たちは苦しんだ。加治屋蓮(JR九州→ソフトバンク)と柿田裕太(日本生命→DeNA)はシーズン中も一軍登板はなし。一軍登板があった武藤好貴(JR北海道→楽天)と横山雄哉(新日鐵住金鹿島→阪神)もそれぞれ9試合、4試合の登板に終わり、戦力になれなかった。

オープン戦4試合以上登板が試金石?

新人王には届かなかったが、目覚ましい活躍を見せたのが石山と山岡泰輔(東京ガス→オリックス)だ。

石山はオープン戦では3試合の登板で防御率6.23と打ち込まれたが、シーズンでは見違える投球を見せ60試合に登板。セットアッパー、守護神をこなし10セーブ、21ホールドを挙げ防御率2.78と安定した成績を残した。また、1年目からオールスターゲームにも出場している。

山岡はオープン戦で防御率1点台と結果を残すと、シーズンでも先発ローテーションに定着。規定投球回に到達し、8勝11敗、防御率3.74の好成績を残した。

一方、オープン戦で4試合以上に登板した4投手は、新人王を受賞した石川を含む全員が1年目から一軍で結果を残している。

十亀剣(JR東日本→西武)はオープン戦4試合で防御率5.79と苦しんだが、シーズンでは中継ぎを中心に起用され6勝0敗、9ホールド、防御率2.72とフル回転だった。

鈴木博志(ヤマハ→中日)はオープン戦6試合で防御率0.00と好成績を残し、シーズンに突入。一時は抑えを任され4セーブをマークした。防御率4.41は勝ちパターンとしては少し物足りないものの、年間で53試合に登板している。

オープン戦で好投した松永昂大(大阪ガス→ロッテ)は、シーズン58試合で28ホールド、防御率2.11と抜群の成績を残した。

こう見ると、オープン戦で4試合以上の登板があれば、シーズンでの活躍も大いに期待できそうだ。今年の社会人出身ドラ1投手には栗林良吏(トヨタ自動車→広島)がいる。オープン戦で何試合登板するのかにも注目していきたい。

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