岡本は巨人にとって10年ぶりの本塁打王
2020年シーズンは新型コロナウイルスの影響で開幕が遅れ、セ・パ両リーグとも120試合制で行われた。例年より23試合少ないにもかかわらず、岡本和真(巨人)はセ・リーグで唯一30本を超える31本塁打を記録し、自身初の本塁打王に輝いた。
巨人の選手による本塁打王は2010年のラミレス以来10年ぶりのことで、これはセ・リーグにおいて阪神(1986年/バース)に次ぐブランクだった。神宮球場や横浜スタジアムと並んで比較的狭く本塁打が出やすい東京ドームを本拠地としていながら、長らく本塁打王が誕生していなかったのだ。
岡本は今年、2年連続となる本塁打王を目指すことになる。複数年連続本塁打王の達成者を振り返ってみると、セ・リーグでは意外にも巨人が最も遠ざかっていた。
王以来、巨人の複数年連続本塁打王は不在
セ・リーグの本塁打王を振り返ってみると、これまでに7人(8回)が複数年連続で本塁打王を獲得している。
セ・リーグで初めて複数年連続で本塁打王を獲得したのは、巨人の王貞治(1962-1974年)。王は高卒4年目となる1962年から一本足打法に取り組み本塁打を量産。2年目の17本塁打を大きく上回る38本塁打を放ち、自身初の本塁打王に輝いた。そこから1974年まで続いた前人未到の13年連続本塁打王の記録は、今後も破られることはないだろう。
ちなみに、1973年と1974年には首位打者と打点王も獲得し、史上初の2年連続となる三冠王に輝いている。また、1975年に阪神の田淵幸一に本塁打王を奪われ連続記録は途絶えたが、1976-77年には再び連続本塁打王に返り咲いた。
その後、山本浩二(広島)、バース(阪神)、落合博満(中日)、村田修一(横浜)、バレンティン(ヤクルト)と他球団からも複数年連続本塁打王が誕生。2018、2019年にはソト(DeNA)が2年連続本塁打王を獲得し、セ・リーグ初となる同一球団で2人目の達成者が誕生した。
複数回の本塁打王も王と松井だけ
巨人からは王以降、連続本塁打王は誕生していない。
1990年代以降、巨人には多くのスラッガーが在籍した。落合博満、広澤克実、清原和博、江藤智、小久保裕紀、小笠原道大、松井秀喜、村田修一、ラミレス、ローズなど枚挙にいとまがない。そのなかで本塁打王となったのは、日本人選手では松井(3回)と2020年の岡本、外国人選手ではローズ(1回)とラミレス(1回)だけだ。
また、2リーグ制となった1950年以降に複数回本塁打王を獲得したのは、巨人では王と松井、そして長嶋茂雄の3人のみ。いずれも名球会、そして野球殿堂入りを果たしているレジェンドたちだ。
2021年、巨人では王以来、あの松井でも成し遂げることができなかった2年連続本塁打王に岡本が挑むことになる。
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