最大の武器はストレート
平良海馬にとって、2020年は飛躍のシーズンとなった。高卒3年目にしてセットアッパーを任され、リーグトップタイの54登板。33ホールドをマークする活躍で見事新人王に輝いた。
そんな彼の最大の武器はストレートだ。7月19日の楽天戦で自己最速の160キロを投じるなど、そのスピードボールはファンの心を引きつけた。今回は、獅子の若き剛腕・平良のストレートの特徴を紹介する。
平良海馬にとって、2020年は飛躍のシーズンとなった。高卒3年目にしてセットアッパーを任され、リーグトップタイの54登板。33ホールドをマークする活躍で見事新人王に輝いた。
そんな彼の最大の武器はストレートだ。7月19日の楽天戦で自己最速の160キロを投じるなど、そのスピードボールはファンの心を引きつけた。今回は、獅子の若き剛腕・平良のストレートの特徴を紹介する。
まずは、何といっても球速だ。昨季のストレートの平均球速は153.8キロで、これは12球団の日本人投手のうちトップを記録。手元にデータがある2004年以降では、高卒3年以内に登板した投手の中で最速だった。先発と救援という差はあるものの、高卒3年目時点での平均球速は大谷翔平(元日本ハム)を上回っている。
次に、ゴロ割合の高さが挙げられる。ゴロ割合55.6%はリーグ4位を記録。平良は身長173センチと小柄で、一般的な投手に比べてリリースポイントが低い。これに加えてカット気味の軌道を描く球質ゆえに、バットの下部に当たって打球がゴロになる確率が高いのではないか、と推測される。
3つ目は、奪空振り率の高さだ。こちらもゴロ割合に続き、リーグ4位を記録した。平良は投球モーションの始動からリリースまでが速い。これとスピードボールが相まって、相手打者が振り遅れるシーンがよく見られた。ゴロになりやすく、空振りの多いストレートは被打率.140と威力を発揮した。
そして、ゴロ割合と奪空振り率の両方で高水準のストレートというのは希少である。上図は直近10年でストレートを300球以上投じた投手を、ゴロ割合と空振り率で分類したものだ。上図の条件に当てはまる投手は580人いるが、通算で奪空振り率10%以上かつゴロ割合50%以上の投手は、平良とマーティン(元日本ハム)の2人しかいない。平良のストレートは球速だけでなく、球質でも異彩を放っている。
投手にとって理想的な剛速球を武器に、平良はリーグ屈指のリリーバーへと成長を遂げた。それでも、11月のインタビューでは自身のストレートを「信頼していない」と評するなど、飽くなき向上心を見せる。進化を続ける若武者の、今後のピッチングから目が離せない。
※文章、表中の数字はすべて2020年シーズン終了時点
企画・監修:データスタジアム
執筆者:植松 大樹