村上宗隆の三振はなぜ減ったのか
昨年の村上宗隆を例えるならば、まだ粗削りな原石といったところだろうか。高卒2年目で36本塁打を放った豪快なバッティングには、日本人歴代最多のシーズン184三振という穴が付随していた。
ところが、村上はその姿を変えつつある。打席に占める三振割合は大幅に減少し、わずか1年で打撃の確実性は著しく向上した。では、村上の三振はなぜ減ったのか。キーとなるのは「ストライクゾーンの投球への対応」だ。
昨年の村上宗隆を例えるならば、まだ粗削りな原石といったところだろうか。高卒2年目で36本塁打を放った豪快なバッティングには、日本人歴代最多のシーズン184三振という穴が付随していた。
ところが、村上はその姿を変えつつある。打席に占める三振割合は大幅に減少し、わずか1年で打撃の確実性は著しく向上した。では、村上の三振はなぜ減ったのか。キーとなるのは「ストライクゾーンの投球への対応」だ。
まず、ゾーンごとの投球数に占める三振の割合を見てみたい。昨季の村上は、追い込まれてからストライクゾーンに投げ込まれたボールを約3球に1球のペースで三振していた。
しかし今季はその割合が劇的に改善。ボールゾーンにおける数値はほとんど変わっておらず、今季の変化はストライクゾーンの投球に対するアプローチにあると考えられる。
2ストライクという状況においてストライクゾーンがボールゾーンと異なるのが、見逃し三振の存在だ。昨季の村上はストライクゾーンスイング率が低く、見逃し三振が多い打者だったが、今季はリーグ平均を上回る数字まで上昇。
また、ボールゾーンへの手出しが目立って増えたわけではなく、この変化はストライクとボールの見極めに磨きがかかったことが要因といえそうだ。
さらにスイングした際にバットに当たる確率も改善を見せており、スイング率向上との相乗効果で三振の減少に大きな影響を与えている。
こうしたアプローチの改善もあり、2ストライクからのストライクゾーン打率は大きく上昇した。昨季は打率.173とほとんどヒットが生まれなかったのに対し、今季は名だたるヒットメーカーを抑えての2位。追い込まれるともろさを見せた若武者は、追い込んでも怖い打者へと変貌を遂げている。
昨季の村上のシーズン打率はリーグワースト。そこから迎えた今季は、ドラフト制後だけを見ても超一流の打者がずらりと並ぶ、高卒3年目以内での打率3割をも達成した。その上、最大の長所である長打力も失っておらず、打者としての完成度は格段に高まっている。
粗削りな原石は、ツバメの未来を照らす宝石へ。その輝きはどこまで増していくのだろうか。
※文章、表中の数字はすべて2020年11月10日終了時点
企画・監修:データスタジアム
執筆者:植松 大樹
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