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安定感抜群のロッテ・二木康太 直球の精度向上に伴い、他の球種の被打率も向上

2020 10/31 06:00浜田哲男
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今最も計算できる先発投手

一時はソフトバンクと熾烈な優勝争いをしていたロッテだったが、10月に入ってからは両チームの明暗がくっきり。現在はCS進出にも黄信号が灯っているロッテだが、そんな状況においてもチーム防御率3.89はリーグ2位と奮闘中だ。

打線の復調が最大の課題であることは明白だが、及第点の数字を残す投手陣にも引き続き期待したいところ。特に、6連勝を飾るなど背番号18に相応しい活躍を見せ始めた二木康太は、今後の鍵を握る存在だ。

10月23日のオリックス戦では、それまで抜群の安定感を誇っていた制球に苦しみ、4回途中9安打5失点の乱調。自身の連勝は6でストップし、チームの連敗を止めることができなかったが、先発陣の中で今最も計算できる投手であることに変わりはない。

直球が走り、他の球種の被打率も向上

投球の52.7%を占める直球の平均球速は140.8kmだが、今季は制球が特に良い。ここまで投球回79.2で与えた四球はわずか10個。制球を乱すことなく、常に有利なカウントで勝負することができている。

初球の入り方にも細心の注意を払っている。投手ヒートマップを見ると、対左打者でも対右打者でも、初球は徹底的に外角だ。リスクがより少ないゾーンで簡単にストライクを取ることで自分のリズムを作っている。

対右打者に対しては全配球を見ても外角攻めの比率が高い。これは、対右打者でスライダーの投球割合が増える(対右打者:23.0%、対左打者:12.3%)ことも影響しているだろう。ゾーン別の被打率を見ると、対右打者の外角高めは.238、外角中程は.100、外角低めは.194としっかり抑えていることがわかる。

一方、対左打者に対する全配球を見ると、ストライクゾーン全体がほぼ均等に赤く表示されており、高低左右に満遍なく配球。対左打者に対しては直球の投球割合が多いが(対左打者:57.4%、対右打者:45.4%)、その直球をうまい具合に散りばめて的を絞らせないようにしているようだ。また、対左打者の外角低めの被打率は.143、真ん中低めの被打率は.167と優れた数字をマークしているが、要所で投げるフォークが効いていると考えられる。

球種別に今季の被打率を見ると、直球は昨季の.282から.242と向上。投球割合の16.5%を占めるスライダーも昨季の.234から.190に。さらには、投球割合の5.4%を占めるカーブも昨季の.417から.222と軒並み向上している。直球の走りと制球が改善されたことが、他の球種にも良い効果をもたらしている。

CSに進出すれば、ソフトバンク最大の難敵に

CSに進出した場合に対戦するソフトバンク戦は、昨季から今季にかけて7連勝中。10月9日の試合でも、7回3安打1失点と好投した。同試合では9個の三振を奪ったが、そのうちの5個が見逃しの三振。「いつもの試合同様、やるべきことをやっただけ」と試合後に淡々と語る姿には頼もしさを感じた。

今季の対戦打者別の成績を見ても、中村晃には.333と分が悪いものの、柳田悠岐は.273、グラシアルは.250、栗原陵矢、川瀬晃、甲斐拓也、明石健志、牧原大成の5選手は.000と完璧に抑えている。ロッテがCSに勝ち上がれば、ソフトバンク最大の難敵となることは間違いない。

しかし、まずはCSに進出しソフトバンクへの挑戦権を得なければならない。また、キャリアハイとなるシーズン8勝目も成し遂げたいところ。チーム状況は苦しいが、今季急成長を見せる右腕には、果たすべき大きな仕事がまだ残っている。

※成績は10月29日終了時点

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