残り試合数の多いロッテと西武に好相性
ソフトバンクが20日の日本ハム戦に快勝して今季初の9連勝を飾った。2位のロッテに6.5ゲーム差をつけ、いよいよ優勝が見えてきた。周東佑京がトップバッターとしてセンセーショナルな活躍を見せ、栗原陵矢や松田宣浩も復調。投手陣の安定とともに、打線が活性化してきたのが大きい。
そんな打線において、最も欠かせないのが中村晃だ。確実性を重視したシュアな打撃は健在で、2番~6番まで様々な打順を任されている。2番に入ればチャンスメイクし、5番に入れば走者を返す役割をしっかりと果たす。首脳陣にとってこれほど心強い打者もいないだろう。
ソフトバンクは残り15試合のうち、6試合がロッテ戦で7試合が西武戦。対チーム別の成績を見ると、中村はロッテ戦で打率.316、西武戦で打率.325と好成績を残しているため、リーグ優勝へ向けたラストスパートをはかる上で大きな期待がかかる。
三振の少なさと選球眼の良さ
中村の打撃で特筆すべき点は、三振の少なさと選球眼の良さ。セイバーメトリクスの指標であるPA/K(打席数÷三振数)は、数値が高いほど三振しにくいことを示すが、中村はリーグ3位の9.34。また、数値が高いほど三振が少なく四球が多いことを示す指標BB/K(四球数÷三振数)もリーグ5位の.868をマークしており、選球眼が優れていることがわかる。
広角に打ち分ける打撃も特徴。打球方向データを見ると、左翼18%、左中間23%、中堅20%、右中間21%、右翼18%と偏ることなく広角に打球を飛ばしている。外角の球を左中間に鮮やかに運ぶシーンをよく目にするが、実際に外角中程の打率は.344、外角高めは.321とハイアベレージをマークしている。
一方、内角球は比較的苦手にしており、内角中程の打率は.179、内角低めは.167と振るわない。それでも、内角高めは.333、真ん中は.524、真ん中低めも.293と打ち込んでいるコースが多く、バットコントロールの良さを裏付ける結果となっている。
1番周東、2番中村は脅威
ここ最近の試合では、1番に座る周東が打撃好調で頻繁に出塁できているため、2番に座ることの多い中村がつなげば一気にチャンスが拡大し、3番の柳田悠岐を迎える上で相手バッテリーには相当なプレッシャーがかかる。また、走者一塁時の打率が.317、走者二塁時の打率が.351と高く、脚力のある周東とのコンビは脅威となる。
6番に座った10月15日のオリックス戦でもチームの快勝に貢献。2-2と同点に追いつかれた直後の6回無死一、二塁の場面で松田の代打・川瀬晃が犠打を成功させ、一死二、三塁に好機を拡大すると、続く中村が右前に適時打を放って勝ち越し。続く好機で代打・長谷川勇也が勝負を決める満塁本塁打を放った。ビッグイニングになったが、犠打で進めた走者を中村がしっかりと返したことが大きかった。
昨季は自律神経失調症と腰痛の影響もあり、わずか44試合の出場にとどまった中村。2年連続でリーグ優勝を逃した責任も感じているだろう。今季はここまで85試合に出場。打率.280、出塁率.348をマークし、首位を走るチームの原動力となっている。シーズンも大詰めを迎え、幾多の痺れる場面が訪れると予想されるが、中村なら期待に応えてくれるはずだ。
※数字は2020年10月20日試合終了時点
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