阪神・梅野隆太郎が離脱、西武・森友哉は不調
攻守の要である正捕手の不在は、チームにとって大きな痛手だ。9月17日に行われた巨人-阪神戦（東京ドーム）で、阪神の梅野隆太郎が2回の守備から途中交代。翌18日に右腹斜筋の筋挫傷と判明し、登録抹消となった。
梅野に限らず、今年は各チーム負傷による正捕手の離脱が多発している。巨人は小林誠司が6月21日に死球を受け、左尺骨を骨折。9月9日にはロッテの田村龍弘が死球により、右手人差し指を剥離骨折。翌10日には広島の會澤翼が守備中にファウルがマスク越しに顔面に直撃し、負傷交代。いずれも翌日登録を抹消された。
怪我による離脱だけでなく、不調に苦しむ正捕手も目立つ。
西武の森友哉は昨季135試合に出場し、.329/.413/.547（打率/出塁率/長打率）の好成績で、堂々のパ・リーグMVPに輝いた。だが、今季は.254/.321/.387とまさかの打撃不振に陥り、スタメンを外れることも増えている。17日のロッテ戦では4試合ぶりにスタメンマスクをかぶるも、バント処理を連続でミスして先制点を許すなど、攻守に精彩を欠いている状況だ。
また、昨季3年連続日本一に貢献したソフトバンクの甲斐拓也も.204/.295/.361と不調。昨季の.260/.346/.387から大幅に成績が低下してしまっている。
捕手はもともと激務のポジションではあるが、加えて、コロナ禍の影響による調整難が災いしたのか、今季は捕手にとって受難のシーズンとなっているようだ。
セパ両リーグで捕手の規定到達者0の可能性も
負傷離脱や不調に陥る正捕手が続出している今季のプロ野球。このままいくと、捕手が1人も規定打席に到達できない可能性が出てきた。
ここで、各チームの捕手のうち、現時点（9月24日終了時点）で最も打席数が多い選手の成績を見ていく。まずはセ・リーグ。
今季は120試合制のため、シーズン規定打席は372となる。多くのチームが残り40試合を切った中で、これに到達できそうなのは、梅野1人と言っていいだろう。ただ、その梅野も現在負傷のため二軍調整中で、復帰までに時間を要するようであれば、規定に届かないこともありうる。
仮に梅野が最短で復帰できた場合、29日の中日戦から出場可能となる。その間、阪神が順調に試合を消化した場合、残り試合数は36。梅野はあと110打席でシーズン規定打席に到達するため、1試合あたり3.1打席が必要な計算となる。
万全な状態であれば、問題なくクリアできる数字だ。既にスローイング練習は違和感なくできているようなので、打撃練習で痛みが出なければ、最短での一軍復帰が見えてくる。ただし、復帰後フル出場を続けることができるかはわからない。再発しやすい負傷箇所なだけに、予断を許さない状況が続くだろう。
一方、パ・リーグはどうだろうか。
こちらも可能性がありそうなのは、森1人だけだろう。甲斐も残り37試合で必要な打席数は140と決して届かない数字ではないが、打撃の状態が上向かない限り厳しいと言わざるを得ない。
両リーグトップの278打席に立っている森も安泰とはいかない。8月までは60試合中54試合にスタメンで起用されていたが、9月に入ってからは21試合中9試合と、試合数の半分以下にまでスタメン機会が減っているからだ。そのため、9月は1試合あたり2打席（＝打席数/消化試合数）しか立てておらず、このままのペースだとシーズン規定打席にわずかに届かない。
西武捕手陣は森以外にも、同期入団で高校の先輩でもある岡田雅利に、ルーキーの柘植世那と実力者がそろう。特に柘植は、スタメンデビューから2試合連続本塁打、23日の日本ハム戦では決勝点となるタイムリーを放つなど打撃好調。守備面でも同じくルーキーの浜屋将太を落ち着き払ったリードで2連勝に導くなど、評価が急上昇中だ。
ただ、辻監督は森の復調に期待している節があり、本来の打撃が戻れば、スタメン起用が増えることも十分考えられる。その打撃に上向く気配が一向に見えないのが気がかりだが、正捕手としての意地を見せてほしいところだ。
近年、打てる捕手の台頭もあり、昨季はセパ合わせて5人の捕手が規定打席に到達していた。しかし、今季は打って変わって、規定到達者がゼロとなるかもしれないが、はたして。
※成績は9月24日終了時点
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