四番に座る鈴木誠也、大山悠輔、佐野恵太ら1994年世代のスラッガー
今シーズンのプロ野球では、巨人の岡本和真やヤクルトの村上宗孝、ロッテの安田尚憲と言った20代前半の若き四番たちがチームを牽引している。そんな中、高卒8年目、大卒4年目の26歳を迎えるスラッガーたちもまた、チームの主砲として活躍を見せている。1994年世代の広島・鈴木誠也、阪神・大山悠輔、DeNA・佐野恵太の3人だ。
この世代でいち早く四番に定着したのが鈴木だ。2012年ドラフト2位で二松学舎大付からプロ入りした鈴木は、1年目から一軍公式戦に出場、3年目に一軍に定着すると、5年目の2017年から四番を務めている。
2016年ドラフト1位で白鴎大からプロ入りした大山は、1年目からクリーンナップを打ち、シーズン終盤には四番も経験。3年目の昨季は終盤を除き、多くの試合で四番を務めた。今季は途中からその座をサンズに譲っているが、夏場までは四番での出場がメインだった。
同じく2016年ドラフトで、明治大から9位指名でプロ入りを果たした佐野は、1年目から代打で起用され続けた。徐々に出場数を増やし、今季からメジャーリーグに移籍した筒香嘉智のあとを受け、四番・左翼としてプレイしている。
実績ではずば抜けている鈴木、本塁打率が飛躍的に向上した大山
鈴木、大山、佐野の通算、そして今季の成績を比較してみよう。
通算では鈴木の成績がずば抜けている。大山、佐野がまだ大学4年生だった年に広島のスタメンに定着し、156安打をマーク。そこから4年連続で130安打以上を記録し、今季も今のペースでいけば達成する見込みだ。本塁打も既に5年連続二桁に乗せており、通算137本と現役通算本塁打数20位の西武・メヒア(139本)に2本差としている。
打率.314、長打率.560、出塁率.409、OPS.969といずれもトップクラスの成績を残しており、さらに守備、走塁での貢献も高い。昨秋行われた第2回 WBSC プレミア12では日本の四番として世界一に貢献し、MVPにも輝いた。今や日本最高クラスの打者の一人だ。
大山は昨季まで通算335試合1083打数で32本塁打なのに対し、今季は77試合280打数で21本塁打(セ・リーグ2位)と、本塁打数を大幅に増やしている。1本塁打あたりの打数を表す本塁打率は、33.8から13.3と飛躍的に向上。それに伴い長打率は1割以上上昇し、OPSも昨季までの3年間通算.734から今季は.897と大幅に上げている。
打率・出塁率は昨年までとほぼ変わらない数字を残しつつ長打率の向上が見られるのは、無駄に大振りするのではなく、ボールにしっかりとコンタクトして長打を増やしているということだ。このペースでホームランを量産することができれば、阪神では1986年のバース以来、34年ぶりの本塁打王も夢ではない。
つなぎの四番から決める四番へと成長見せる佐野恵太
この3人の中で最も実績が少ないのが佐野だ。昨季まではスタメンどころか代打での出場がメインだった選手なので当然だが、そんな中でも勝負強さが際立った。昨季は開幕から代打で3打席連続タイムリー、4打席目には満塁ホームランを放ち、「代打の神様」とまで言わしめる活躍を見せ、シーズン終盤には四番スタメンも経験した。
主将・四番・左翼のポジションを筒香から受け継いだ今季は、いずれもリーグトップの112安打、打率.352と堂々の成績を残している。シーズン序盤は安打こそ出るものの、なかなか本塁打が出ない時期が続いた。しかし、7月22日の試合で1号弾が出てからは立て続けにホームランを放ち、現在は12本まで積み上げている。
それに伴い打点も増え、56打点はセ・リーグ6位。前後を打つ打者が強力なこともあり、本人も「つなぎの四番」を強調していたが、夏場以降はしっかりと「決める四番」を体現している。OPS.945は鈴木とそん色ない数字だ。少し気は早いが、このペースで打つことができれば自身初タイトルとなる首位打者も見えてくる。
今シーズンのペナントレースは巨人が独走中。早くもマジックが点灯し、優勝へ向けたカウントダウンが始まっているが、2位の阪神、3位のDeNAにもまだ可能性は残されている。限りなく厳しいが、広島にもまだ可能性はある。94年世代の四番たちが、ここからどのようにしてチームを引っ張っていくのか、注目していきたい。
※数字は9月23日終了時点
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