寺島成輝がプロ初勝利、九鬼隆平は初本塁打
ヤクルト・寺島成輝が7月7日の中日戦でプロ初勝利を挙げた。同点の9回に登板して無失点に抑え、延長10回に味方が勝ち越して転がり込んだ白星。期待され続けた2016年ドラフト1位左腕は、ようやくつかんだ1勝に笑顔だった。
寺島は履正社時代、横浜・藤平尚真(現楽天)、花咲徳栄・高橋昂也(現広島)、作新学院・今井達也(現西武)とともに「高校BIG4」と呼ばれ、甲子園を沸かせたスター候補だった。しかし、プロ入り後はすでに勝ち星を挙げている3人に比べて遅れをとっていただけに、感慨もひとしおだっただろう。
BIG4だけでなく、今季は甲子園未出場組も含めて、1998年度生まれ選手の躍進が目立つ。
聖徳学園から2016年の育成ドラフト2位でソフトバンク入りし、昨オフにヤクルト移籍した長谷川宙輝は6月25日の阪神戦でプロ初勝利。150キロを超えるストレートが武器の左腕で、今後ますますの飛躍が期待されている。
秀岳館時代に春夏連続で甲子園4強進出し、2016年ドラフト3位でソフトバンク入りした九鬼隆平も同学年だ。7月5日の日本ハム戦でプロ初安打となる本塁打。プロ入り初のスタメン出場でいきなりレフトスタンドに放り込み、パンチ力を見せつけた。
世代トップランナーは山本由伸
1998年度生まれは高卒でプロ入りすれば4年目にあたり、まだ21~22歳の若手だ。しかし、先述した選手以外にも活躍している選手は多い。
世代のトップを走るのがオリックスの山本由伸だろう。都城では甲子園出場は果たせなかったが、3年目の昨季は防御率1.95でタイトル獲得。150キロを超えるストレートと多彩な変化球を操り、ダルビッシュ有(カブス)や田中将大(ヤンキース)も自身のツイッターで絶賛するなど、高く評価されている。
巨人・高田萌生は創志学園時代に甲子園出場し、ドラフト5位でプロ入り。150キロを超える速球を武器にプロ初勝利を目指している。
DeNAの京山将弥は近江高のエースとして甲子園に出場し、2016年ドラフト4位でプロ入り。2年目の2018年には開幕ローテーション入りし、シーズン6勝を挙げた。
同じくDeNAの細川成也は明秀日立からドラフト5位で入団し、1年目の2017年10月3日の中日戦で初打席初安打初本塁打初打点を記録する衝撃デビュー。翌4日にも決勝2号ソロを放ち、クライマックスシリーズにも出場した。昨季はイースタンで15本塁打をマーク。将来の中軸候補として期待されている。
阪神・浜地真澄は2019年に2勝。福岡大大濠時代は甲子園には出場できなかったが、都城の山本由伸(オリックス)、九産大九産の梅野雄吾(ヤクルト)、れいめいの太田龍(巨人)らと「九州四天王」と呼ばれていた逸材だ。
同じく阪神の才木浩人は2018年に6勝、2019年に2勝を挙げている。高校球界では無名の須磨翔風(兵庫)時代に「公立の星」と騒がれ、ドラフト3位でプロ入りした。
日大三からドラフト4位で広島入団した坂倉将吾は昨季51試合に出場した正捕手候補。松山聖稜時代に甲子園出場したアドゥワ誠は、196センチの長身から投げ下ろす速球を武器に、すでにプロで9勝を挙げている。
中日・藤嶋健人は東邦時代、夏の甲子園2回戦の八戸学院光星戦で9回に5点を奪って逆転サヨナラ勝ちしたことをご記憶の方も多いだろう。2018年にプロ初勝利をマークすると、2019年には21試合連続無失点を記録するなどブルペンを支えた。
九産大九産時代に「九州四天王」と呼ばれたヤクルト・梅野雄吾は昨季68試合に登板し、チーム最多の28ホールドをマークした。すでに1軍での通算登板数は100試合を超えている。
先発ローテ担う種市篤暉、貴重な中継ぎの堀瑞輝
ソフトバンク・古谷優人は北海道の江陵時代に甲子園出場は果たせなかったものの、ドラフト2位でプロ入り。3軍戦で160キロを投げ、「最速日本人左腕」の呼び声も高い期待のホープだ。
ロッテ・種市篤暉は2019年、26試合に登板して8勝2敗2ホールドをマーク。今季も先発ローテーションの一角を担っている。
広島新庄時代、2年夏と3年夏に甲子園出場した堀瑞輝はドラフト1位で日本ハム入団し、2019年には53試合に登板して4勝1セーブ5ホールドをマークした。
オリックスで山本由伸と同期の榊原翼は2019年に3勝。150キロを超える速球を武器にさらなる飛躍を目指している。
女子ゴルフで活躍する渋野日向子、畑岡奈紗、勝みなみら1998年度生まれの選手は「黄金世代」と呼ばれている。
同世代選手のこれまでの活躍を見ると、プロ野球でも「黄金世代」と言って差し支えないのではないだろうか。2019年ドラフトでは高校卒業後に社会人に進んだ日本ハム・河野竜生やソフトバンク・佐藤直樹らもプロ入りした。2020年ドラフトで大学進学組もプロの門を叩くことを考えれば、プロ野球の「黄金世代」が広く認知される日も遠くないかも知れない。
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