打率.315と復活した倉本
DeNAのチーム打率は現在.274で12球団トップ。マシンガン打線と呼ばれた1998年優勝時の.277に迫る水準で打ちまくっている。シーズン開幕前は筒香嘉智のメジャー移籍で攻撃力低下は避けられないという下馬評だったが、始まってみれば主将・4番の重責を引き継いだ佐野恵太が筒香の穴を補って余りある活躍を見せている。
佐野と並んでDeNAの「嬉しい誤算」となっているのが梶谷隆幸、倉本寿彦の完全復活だろう。もっとも、梶谷は最近2年の不調が肩の故障によるもので、本来の状態に戻れば現在のように成績を残すという予想も少なくなかった。
だが、倉本はそのような期待を集めていた立場ではない。もともと守備面の評価はあまり高くなかったところに、プロ2年目の2016年に.294をマークした自慢のバットコントロールにも不調をきたし、大和の加入、柴田竜拓の台頭もあって2018年からは出場機会を大幅に減らしていた。
昨年はわずか24試合の出場にとどまった倉本が今年は打率.315と打撃好調で、チームに欠かせない打者になっている。何がこの復活劇をもたらしたのだろうか。
選球眼を示すBB/Kに進化
倉本の打撃成績を見ると、好調だった2016年でさえも566打席に立って四球がわずか22。打率はリーグ11位ながら出塁率は同23位にとどまっていたように、四球の非常に少ない選手だ。しかも16年以外は4年とも三振率が2割を超えているように、ボール球に手を出しての三振が多い傾向があった。
しかしながら、今年は三振率もキャリア最低の.157にとどめ、打者の選球眼を評価する指標BB/Kは0.55にまで改善している。これは16年の2倍以上という水準。すなわち、単にかつての輝きを取り戻したのではなく、不振を乗り越えて以前より選球眼に磨きがかかったのだ。選球眼の向上によって悪球打ちが減ったことが、高打率の一因になっていると言えよう。
メルセデス、今村信貴、田口麗斗攻略のキーマンに
倉本のもう一つの大きな特徴は、左打者でありながら対左の打率が.404、対右が.253と左投手を大得意にしていることだ。
また、ショートで併用される柴田は対右.310、二塁手の中井大介は対右.367と、こちらは右を得意にしている。したがって、左投手相手なら倉本、右投手相手なら柴田がショートを守り、中井を二塁起用するといった併用の妙もある。二遊間を守る大和が自打球の影響で9月16日に登録抹消となり、倉本の出場機会はさらに増えていくだろう。
逆転優勝を目指すDeNAにとって巨人攻略を避けては通れない。無敗のエース菅野智之に手が付けられないなら、他の投手と対戦した際に打ち崩すしかない。となれば、メルセデス、今村信貴、田口麗斗と先発ローテに3枚の左を並べる巨人相手で倉本の存在は極めて重要になってくる。
CSのない今シーズンのセ・リーグ。Aクラスの3位確保で満足しているわけにはいかない。進化を遂げた倉本に、戦列復帰したオースティンなどが加わった「新・マシンガン打線」で首位をどこまで追撃できるか、注目したい。
※数字は9月15日現在
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