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巨人・菅野智之、開幕10連勝持ち越しも エースの本質を体現する熱投

2020 9/2 11:46SPAIA編集部
巨人の菅野智之ⒸSPAIA
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ⒸSPAIA

背番号16のエースで13連戦初戦を制す

9月1日、東京ドームで行われたDeNAとの10回戦は、巨人の監督としてV9を達成した故川上哲治氏の生誕100年記念試合として行われた。

巨人の選手・監督・コーチらチーム全員が、永久欠番となっている背番号16のユニホームを着用して臨んだこの試合。背番号が変わっても、エース・菅野智之の投球は不変だった。

150キロ前後のストレートを軸に、菅野自身が生命線と語るスライダーをはじめとした多彩な変化球で、DeNA打線に的を絞らせない。見逃し3つを含む10奪三振で、今季3度目の2ケタ奪三振。8回二死から連続四球で降板となったが、エースの気迫の投球に打線が応え、9回サヨナラ勝ちを収めた。

開幕からの10連勝は次回にお預けとなったが、これで菅野先発時は11戦負けなし。13連戦を戦うチームに勢いをつける勝利となった。

淡々と観るものを熱狂させるエースの投球

今季ここまでの菅野の成績を見ると、9勝0敗、防御率1.57、被打率.180と素晴らしい数字が並ぶ。だが、その投球は一見すると、驚くようなものではなく、淡々と投げているように映る。ソフトバンクの千賀滉大のように、160キロ超のストレートやお化けフォークを投じる、センセーショナルな投球ではないからかもしれない。

だがその実は、150キロの剛速球に七色の変化球を自在に操り、打者をきりきり舞いさせている。しかも表情一つ変えずに、その作業を粛々と繰り返しているのだ。また、序盤での課題を試合中に修正してしまう技術力、勝負どころとみるや全力投球に切り替えるギアチェンジの巧みさ。

とにかく点数を与えないために、いま何をすべきかを理解し、そして実践できる能力を持っている。だから負ける気配を微塵も感じさせない。イニングを重ねるごとにその空気が味方だけでなく、球場全体に伝播していき、相手チームに負けを突きつけていく。

この試合の8回、中井とソトに連続四球で降板を余儀なくされた場面。一球一球声を出し、気迫を前面に押し出した投球に、自然と拍手が沸き起こった。降板後もベンチの最前列で味方を鼓舞し、同点打を許してベンチに帰ってきた中川皓太を真っ先に労う。

勝敗の責任を負うエースというものの本質を、その一挙手一投足で体現していた。

次回、中6日での登板となれば8日の中日戦。5試合連続完投勝利を挙げた大野雄大と投げ合うことになる。球界を代表する左右エース対決となれば、間違いなく今季のハイライトといっていい一戦となるだろう。はたしてどのような決着を見るのか、今から楽しみでならない。

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