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巨人・大江竜聖、中川皓太、高梨雄平は「令和の角盈男」になれるか

2020 8/27 06:00SPAIA編集部
巨人の大江竜聖ⒸSPAIA
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ⒸSPAIA

サイド転向してプロ初勝利挙げた大江竜聖

首位を走る巨人で見逃せないのが中継ぎ陣の奮闘だ。絶対エース・菅野智之や若き主砲・岡本和真の陰に隠れて目立たないが、リードを守り切って勝利をつかむために欠かせない存在となっている。

左腕では大江竜聖、中川皓太、高梨雄平の3人だろう。大江は二松学舎大付から2016年ドラフト6位で入団したプロ4年目。昨季は8試合に登板しながら未勝利、防御率6.75と結果を残せず、今季からサイドスローに転向した。

球種はストレートとスライダーが全体の約95%を占め、チェンジアップとカーブを時々投げる程度だが、内外角低めを丁寧につく投球で原監督の信頼も厚い。SPAIAのゾーン別データでは、左打者、右打者ともに外角低めへの配球が最も多く、被打率は.000。7月31日の広島戦で1回無失点に抑えてプロ初勝利を挙げるなど、11試合連続無失点も記録した。

左打者には特に強いが、課題は右打者だろう。8月22日の広島戦では、右打ちの堂林翔太と會澤翼に被弾し、12試合ぶりに失点した。ストレートは平均球速137キロ程度とそれほど速くないため、見極められると持っていかれる危険性が伴う。来季以降、球速アップとシュートあるいはシンカー系の変化球が加われば、さらに投球の幅が広がりそうだ。

防御率0点台の中川皓太、途中加入の高梨雄平は無失点継続

中川皓太は2015年ドラフト7位で東海大から入団した5年目。スリークォーター気味からストレート、スライダー、シュート(ツーシーム)を投げ分け、昨季は67試合に登板して4勝3敗16セーブ17ホールドをマークした。

ストレートは平均で145キロを超え、2020年も防御率0点台を誇る。SPAIAのゾーン別データでは、左打者に対しては外角、右打者に対しては内外角低めで打ち取っていることが分かる。左腕のお手本のような投球だ。

高梨雄平は2016年ドラフト9位でJX-ENEOSから楽天に入団。2018年には70試合に登板するなど中継ぎとして重用されていたが、今季開幕後の7月14日に高田萌生との交換トレードで巨人に移籍した。

ストレートとシュート、スライダーを使い分けるサイドスローで、7月22日の今季初登板からいまだ無失点。勝ちパターンの一角として、新天地でも地位を築いている。

通算99セーブ挙げた角盈男

3人ともドラフト下位指名でプロ入りした中継ぎ左腕と共通点が多い。中川はスリークォーターだが、巨人で活躍したサイド左腕と言えば、角盈男が思い浮かぶ。新人王に輝いた1年目の1978年オフにサイド転向すると、長きに渡って勝ち試合を締めくくり、通算99セーブを挙げた名リリーフだ。

3人は「令和の角盈男」と言えるような、長期間活躍できる絶対的存在になれるだろうか。中継ぎ、クローザーの重要性が増す現代野球において、3人のさらなる成長はチーム成績に与える影響も大きい。

※数字は8月26日終了時点

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