ここ7試合で打率.483、OPSは1.352と大活躍
今季は、開幕直前に新型コロナウィルスに感染するアクシデントからのスタートとなった巨人の坂本勇人。7月には左脇腹の違和感でスタメンを外れるなど、コンディション不良にも見舞われ、なかなか調子が上がらなかった。
その坂本がようやくお目覚めだ。30日の中日戦では、初回先頭バッターとして先制点の足掛かりとなる左翼線への二塁打を放つなど、3安打猛打賞。これで7試合連続安打となった。ここ7試合で、打率.483(29打数14安打)、6二塁打、1本塁打、7打点、OPS(出塁率+長打率)は1.352。坂本らしい固め打ちで、一気に打率を.220から.256まで上げた。
また、打球方向を見ても、14安打中、本塁打を含む8本がレフト方向。坂本の真骨頂とも言える、引っ張った強い打球が増えてきた。本来の打棒が戻ってきたとみてよいだろう。
不安点としては、今季ここまでK%(三振数/打席数)が20.4%と、例年15%前後だった三振率の悪化が気になるところ。だが、ここ7試合ではわずか2三振となっており、このままの調子を維持できれば、自然と改善されていくと考えられる。
華々しい記録の裏で重ねる地道な努力
連日の猛打で通算安打も1938まで積み上がった。今季中に2000本の大台への到達が期待される。25日には10号本塁打を放ち、球団史上単独5位となる12年連続2桁本塁打も記録した。もはや当たり前のように球史に残る数字を記録しているが、遊撃手として試合に出続けながらということを考えると、人並外れた努力を積み重ねてきたはずだ。
坂本の調子が上がる直前となる18日の阪神戦、試合前練習を記者席から見ていた。打撃ケージに入った坂本は誰よりもセンター方向へ打球を飛ばしていた。何度も何度も自分の状態を確認するように。東京ドームのバックスクリーンへ放り込むその打球は、打率2割台前半の選手のものとは到底思えなかった。
しかし、いざ試合が始まると、なかなかヒットという結果につながらない。快音が響いても野手の正面を突くなど、ツキもなかった。それでも翌日の練習では、当たり前のように淡々とセンター返しを繰り返していた。
不調を乗り越える特効薬などない。横着をせず、基本となる動作を地道に続ける。それが一流プレーヤーの日常だ。それがいつしか誰も到達できない高みへとつながるのだ。
シーズンはようやく折り返し地点を迎えたばかり。核弾頭の坂本が打線を牽引するようになれば、首位・巨人の独走態勢がさらに盤石なものとなるだろう。この秋、坂本の2000安打とリーグ連覇の同時達成を、巨人ファンの誰もが望んでいる。
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