気になる坂本の不振…今季中の2000安打は微妙?
プロ野球が開幕して約1カ月が経った。セ・リーグはヤクルトが好調だが、ある程度は予想された展開と言っていいだろう。連覇を狙う巨人は着実に貯金を増やしており、このまま独走態勢に入るのか、はたまた逆転するチームが出現するか、まだまだ予断を許さない。
巨人で最も気になるのは、いまいち調子の上がらない坂本勇人だ。今季は開幕カードの阪神3連戦で11打数5安打2打点と文句のない滑り出しだったが、徐々に打率が下降。7月に入るとノーヒットの試合が増え、打率2割台前半をさまよっている。
SPAIAの集計では、打てているのは真ん中より内寄りの低めに集中。打球方向もレフトが多い。これだけ傾向がハッキリと出ていれば、相手投手は外角中心に攻めるだろう。ヒートマップを見れば、低めのボール球を空振りしていることがよく分かる。
昨季は打率.312、40本塁打、94打点でセ・リーグMVP。外角が苦手という訳ではなく、広角に打ち分けていたし、143試合で173安打放った昨季の実績からすれば、開幕前の時点であと116本に迫った通算2000安打の今季中の達成は間違いないと思われていた。
しかし、120試合となった今季、現在のペースでは届かない可能性が高い。長いシーズン、いずれ調子を取り戻すと思われるが、その時が早く訪れないとチーム成績にも響くのは避けられないだろう。
2020年12月で32歳になる坂本は、今季中に2000安打達成すれば、NPBでは榎本喜八に次ぐ歴代2位の年少記録となる。一刻も早い復調が待たれる。
若き4番・岡本和真は今季35発なら100本塁打到達
逆に好調なのが若き4番・岡本和真だ。今季は早くも8本塁打(7月18日現在)を放っており、3年連続30発へ視界良好だ。
特に今季は打率も高いのが特長。SPAIAの集計では、内角、外角、高め、低め問わずヒットにしている。打球方向はレフトに偏っているため、ライト方向へも打てるようになれば鬼に金棒かも知れない。
まだ24歳になったばかりだが、今季35本打てば通算100本塁打に到達する。清原和博の21歳9カ月という史上最年少記録には及ばないが、今季中に達成すれば大杉勝男の24歳6か月を上回り、史上10位の年少記録となる。
岡本にとっては通過点に過ぎないだろうが、今季中に100本塁打到達できれば、少なからずチーム成績にも反映されるだろう。
エース・菅野智之は今季13勝で通算100勝
エース・菅野智之の好調も頼もしい限りだ。フォームを変えて臨んだ今季、開幕戦で7回2失点と好投して初勝利を挙げると、7月3日の中日戦で完封。7月14日の広島戦でも勝利し、すでに3勝を挙げている。
SPAIAのゾーン別データでは、右打者に対してきっちりと外角に制球できていることが分かる。外角低めの被打率は右打者に対して.118、左打者は.143と封じ込んでいることから、制球を乱さない限り大崩れはないと言えるだろう。
菅野は今季13勝すれば、通算100勝に届く。7月18日現在、通算180試合で90勝。仮に今後10連勝すれば野口二郎、松坂大輔、上原浩治の3人を上回り、史上4位のスピード記録となる。
今季は120試合制のため、13勝なら最多勝のタイトル争いにからんでいることも間違いない。エースにとっては、大台到達がひとつの目安になるだろう。
いずれも個人記録とはいえ、チームが個人の集合体である以上、チーム成績と無関係ではない。投打の柱となる3人が今季中に「大台」に到達することは、セ・リーグ連覇の十分条件と言えるのではないだろうか。
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