ストレートわずか3.5%!ボール動かして凡打の山築く
ソフトバンク・二保旭が7月19日のオリックス戦で6回無失点と好投し、2勝目を挙げた。投げるたびに評価を上げるオリックス・山本由伸と互角に渡り合い、6回まで0-0の投手戦。味方打線が7回に中村晃の1号2ランなどで3点を奪い、球界屈指の右腕に今季初めて土をつけた。
山本に投げ勝ったと言っても内容は対照的だ。150キロ台のストレートや140キロ台の高速フォーク、カットボールなどで7回9奪三振の山本に対し、二保は変化球で打たせて取る投球。奪った三振は6回でわずか2つだった。
SPAIAの集計では、2020年のストレートの割合はわずか3.5%と、持ち球で最も少ない。シュート(ツーシーム)が半分近くを占めており、他にもスライダー、フォーク、カーブ、チェンジアップを操る。ボールを動かしてバットの芯を外しているのがよく分かる。
ヒートマップを見ると、あらゆるコースで凡打させている。オーソドックスな投手なら低めが多いが、二保はあらゆる球種をあらゆるコースに投げ分けて打たせているのだ。
12年目で初の先発ローテ入り
ソフトバンクファン以外には馴染みが薄いかも知れないが、すでにプロ12年目の30歳。九州国際大付から2008年育成ドラフト2位で入団し、2012年に支配化登録されると、2015年には44試合に登板して6勝5ホールドをマークした。2016年に右肘痛のためトミー・ジョン手術を受け、2018年に3年ぶりに1軍マウンドに復帰。プロ通算でちょうど100試合に登板し、10勝7敗1セーブ9ホールドの成績を残している。
同期のドラフト1位は近大から即戦力右腕として入団した巽真悟、2位が現巨人の立岡宗一郎、5位はプロ通算79勝を挙げた攝津正だった。今も現役を続けている選手は他球団を見渡しても少ない。
仁保は12年目にして初めての先発ローテーション入り。千賀滉大や東浜巨、バンデンハークら剛腕タイプの多いソフトバンク先発陣の中で、自分だけの武器を身に付けた。5億7000万円の柳田悠岐を筆頭に、チーム平均年俸が12球団トップの7131万円と高給取りの多いソフトバンクにあって、今季の推定年俸2200万円という点でも異彩を放っている。
開幕ダッシュには失敗したが、徐々に強さを発揮し始めたソフトバンク。地道に力を蓄え、ようやく花開こうとしている二保がチームの勢いを加速させそうだ。
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