4年連続盗塁王の木塚忠助、広瀬叔功の後継者・小池兼司
4年連続日本一を狙うソフトバンクの今宮健太が6月24日の西武戦(メットライフ)で試合を決める逆転1号3ランを放った。西武・今井達也のカーブを捉えると、打球は無人のレフトスタンドへ。3連敗中のチームを救う会心の一発だった。
明豊高から2009年ドラフト1位で入団して11年目。7月に29歳になる。2019年に1000試合出場を果たし、120試合となった今季中に通算1000安打に届く可能性もある。ゴールデングラブ賞5度の守備や現役最多299犠打を記録しているチームへの貢献度も含め、球界でも有数のショートの一人と言っていいだろう。
前身の南海やダイエー時代を含め、ホークスには名ショートが多い。果たして今宮はホークス歴代最高のショートになれるだろうか。
木塚忠助は1948年に南海入団。俊足強打で1年目からレギュラーをつかみ、1949年から4年連続盗塁王に輝いた。守備範囲も広く、ファースト・飯田徳治、セカンド・山本一人、サード・蔭山和夫らと「百万ドルの内野陣」を形成。1957年から3年間は近鉄でプレーし、通算1216安打、479盗塁をマークしている。
小池兼司は1961年に南海入りし、それまでショートを守っていた広瀬叔功の後継者としてレギュラー奪取。1963年には22本塁打を放つなど、強打と堅実な守備で南海の黄金期を支えた。
メジャーでもプレーした川崎宗則
定岡智秋は巨人の投手だった正二、広島、日本ハムで外野手だった徹久の兄。鹿児島実から1972年に南海に入団し、1987年に引退するまで南海一筋の現役生活を送った。1216試合で打率.232、88本塁打、370打点の成績を残している。
小川史は浦安高から1978年ドラフト外で西武に入団し、1983年から南海に移籍。1990年にはダイエーの選手会長も務めるなど、プロ通算1006試合のうち、999試合はホークスで記録している。
浜名千広は東北福祉大から1991年ドラフト3位でダイエー入団。1996年にはフル出場して33盗塁をマークした。2002年からヤクルト、2004年はロッテでプレーし、通算1160試合で811安打、112盗塁を記録している。
川崎宗則は鹿児島工から1999年ドラフト4位でダイエー入り。2004年に最多安打と盗塁王に輝き、ワールドベースボールクラシックにも2度出場するなど、チームの中心選手として活躍した。2012年には憧れのイチローのいたマリナーズに移籍。ブルージェイズ、カブスと移籍してMLB通算5年で276試合に出場した。
2017年にソフトバンクに復帰し、1年間プレー。日本ではホークス一筋に現役生活を全うし、NPB通算1376安打、打率.292の成績を残している。
犠打数は今宮健太がトップ
では、今宮を過去の名ショートと比較してみよう。
今宮がすでに先輩諸氏を凌駕しているのは犠打数。現役トップの299犠打はダントツで、チームへの貢献度は高いと言える。
ただ、打撃面では川崎宗則に軍配が上がりそうだ。通算1376安打、打率.292、OPS.720は頭ひとつ抜けている。とはいえ、コツコツ当てるタイプの川崎と違い、パンチ力も兼ね備える今宮は、長打の多さを計る指標IsoPでは.113と定岡智秋に次いで2位。高校通算62本塁打をマークした実績は伊達ではない。
俊足という点では木塚忠助がずば抜けている。南海時代だけで通算434盗塁、成功率83.1%は驚異的だ。また、選球眼を示す指標IsoDでは小池兼司がトップの.077を記録している。
現段階では各選手に特長があり、誰がナンバーワンとは言い切れない。しかし、今宮はまだ28歳。今後の伸びしろを考えると、ホークス歴代最高のショートになる可能性は十分にある。
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