田中将大も絶賛の今季初登板
オリックス・山本由伸の評価が高まっている。2002年開幕3戦目の楽天戦に先発し、8回3安打10奪三振無失点という完璧な内容で初勝利を挙げた。ヤンキース・田中将大も自身のツイッターで「山本由伸投手素晴らしい投球」と絶賛する内容だった。
94球という省エネ投球の内訳は38球がストレート、18球がフォーク、さらにカーブとカットボールが14球ずつ、シュート7球、スライダー3球となっている。150キロ台後半をマークすることもある球威抜群のストレートに加え、多彩な変化球を使い分けられては、相手打者もたまったものではないだろう。
昨季は8勝どまりながら、防御率1.95で初タイトル獲得。21歳にして、今季年俸は5000万円増の9000万円(推定)にはね上がった。このまま成長を続ければ、どんな大投手になるのか末恐ろしい。
同期に今井達也、藤平尚真ら甲子園のスター
山本由伸は決してエリート街道を歩んできた訳ではない。出身は岡山県で、高校は宮崎の都城に進学。県内では注目を集めたが、甲子園には出場していない。2016年ドラフト4位でオリックスに入団し、1年目の年俸は500万円だった。
同期には作新学院のエースとして甲子園優勝し、西武に1位指名された今井達也、履正社からヤクルト1位の寺島成輝、横浜から楽天1位の藤平尚真、広島新庄から日本ハム1位の堀瑞輝、花咲徳栄から広島2位の高橋昂也、松山聖陵から広島5位のアドゥワ誠、東邦から中日5位の藤嶋健人ら甲子園を沸かせたスター候補が多く、山本はそれほど注目された存在ではなかった。
田中幸雄や福盛和男ら輩出した都城
都城は1999年夏以来甲子園から遠ざかっているが、かつてはプロ野球界に名選手を輩出している。
井上祐二は1980年 ドラフト2位で南海に入団し、高卒ルーキーながら1年目に初登板初先発初勝利をマーク。ダイエーとなった1989年にはリーグ最多の57試合に登板し、6勝2敗21セーブの成績で最優秀救援投手に輝いた。1997年にユニフォームを脱ぐまで通算54勝68敗77セーブの成績を残している。
都城と聞けば、田口竜二を思い浮かべるオールドファンも多いだろう。左腕エースとして1984年に春夏連続で甲子園に出場。センバツではベスト4入りし、準決勝で桑田真澄、清原和博のいたPL学園に延長11回サヨナラ負けを喫した。夏も3回戦でPL学園に敗れたが強い印象を残す活躍で、同年ドラフトで南海から1位指名を受けて入団。しかし、プロでは1試合に登板したのみだった。
田口の1年後輩が田中幸雄。「ミスターファイターズ」として日本ハム一筋22年で2012安打、287本塁打、1026打点をマークし、名球会入りした名プレーヤーだ。
山本が都城出身としてプロ入りしたのが22年ぶりだったが、その22年前が福盛和男だった。横浜、近鉄、楽天と渡り歩き、2008年にはメジャー挑戦。レンジャーズで4試合に登板し、2009年シーズン中に楽天に復帰した。プロ通算41勝45敗82セーブ17ホールドをマークしている。
山本には都城の先輩諸氏を上回る活躍が期待される。また、今夏の甲子園は中止されたが、宮崎県高野連が独自に開催する県大会では、母校は7月11日の1回戦で都城農と戦うことも決まった。後輩球児からの憧れの眼差しを背中に感じながら、山本はマウンドに立つ。
《関連記事》
・T-岡田は史上最重量1番打者に定着できるか?オリックスが今季初勝利
・プロ野球における背番号18の名選手たち
・プロ野球タイトルホルダーの出身高校ランキング【投手編】