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えげつない打球にブレイクの予感 ソフトバンク栗原陵矢の起用法はいかに?

2020 6/2 06:00浜田哲男
福岡ソフトバンクホークスの栗原陵矢ⒸSPAIA
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ⒸSPAIA

強烈なアピールを継続中

今季ブレイクの兆しを見せているのが、プロ入り6年目を迎えるソフトバンクの栗原陵矢だ。本職は捕手でありながら、類い希なる打撃力を買われて内外野で出場機会を得ると打棒が爆発。対外試合や紅白戦で強烈なアピールを続けている。

5月30日、ペイペイドームで行われた紅白戦では紅組の7番DHで出場。2打席目に左腕・川原弘之の直球をとらえると、ライナー性の打球が左中間テラス席に飛び込んだ。ここまで紅白戦4試合(5月30日終了時点)で10打数4安打、2本塁打、3打点と躍動。プロ入り初となる開幕スタメンも見えてきた。

えげつない打球が魅力

栗原の一番の魅力は、打った瞬間にスタンドインを確信できるえげつない打球だ。28日の紅白戦で石川柊太から放った打球は、左翼席中段に達する豪快弾。高めに抜けた球だったが、甘い球を一振りで仕留めるあたり、近い将来スラッガーとして覚醒しそうな雰囲気を漂わせている。

昨季の打者ヒートマップを見ると、安打を放っているのは低めのコースが多く、ゾーン別データでは外角低めの打率が.357。打席数(45打席)が少ないためはっきりとは言い切れないが、印象としては同僚の上林誠知と同様に低めを上手くさばくイメージがある。

昨季、7月23日のロッテ戦で田中靖洋から放ったプロ入り初本塁打がまさにそれだ。見逃せばボールかという際どい低めの球を、上手くバッドのヘッドに乗せてすくい上げる技ありの一発だった。

3月1日に行われた阪神とのオープン戦での本塁打も圧巻だった。阪神の新外国人ジョン・エドワーズの内角低めの直球を振り抜くと、打球はぐんぐん伸びて右翼ポール際の上段までとどいた。もはや控え捕手という位置づけにはおさまらない。チームとして栗原の打撃力を生かさない手はないだろう。

栗原の起用法が鍵を握る

栗原は対外試合などで本職の捕手のほか、一塁や左翼にもついて無難に守備をこなしている。肩が強いだけでなく、50m走のタイムが6秒0と脚力もあり、野手として大成する潜在能力と可能性も十分に秘めている。層の厚いチームだが、捕手に加えて内外野が守れるユーティリティー性は出場機会を増やすことにつながるし、チームとして攻撃のオプションを拡充できる。

特に今年は新型コロナウイルスの影響で開幕が遅れたこともあり、毎週のように6連戦が組まれる過密日程。また、アルフレド・デスパイネとジュリスベル・グラシアルがキューバからいまだ出国できずに開幕は絶望的な状況で、ユーティリティープレーヤーであり打撃好調の栗原にかかる期待は必然的に大きくなる。

左翼であれば長谷川勇也や中村晃、一塁であれば内川聖一や中村晃ら実績のある打者が目下のライバルとなるが、今のコンディションをキープしていけば開幕スタメンに割って入っていくこともできるだろう。そうでなかったとしても、過密日程でベテランの内川や長谷川をフルで起用していくことは現実的ではない。

1軍の出場選手登録枠の拡大も示唆され、例年よりもベンチワークがより一層勝敗を左右しそうな今季、栗原をどう起用していくのかがリーグ優勝奪還に向けたひとつの鍵となりそうだ。

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