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器用さと長打力、全力プレー スパンジェンバーグが西武3連覇の使者となる

2020 6/13 11:00浜田哲男
埼玉西武ライオンズのコーリー・スパンジェンバーグⒸSPAIA
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ⒸSPAIA

苦しんだオープン戦から一転

長らく不動のリードオフマンとして君臨していた秋山翔吾(現レッズ)が海を渡り、総合的な打撃力の低下が懸念されていた西武だが、そんな不安を解消してくれそうな男がいる。

昨季ブルワーズでプレーしていたコーリー・スパンジェンバーグだ。オープン戦は8試合に出場し打率.174、0本塁打、1打点と苦しんでいたが、6月2日から再開された練習試合で打棒が爆発。ここまで7試合に出場し、23打数11安打、打率.478、4本塁打、7打点(2020年6月11日終了時点)と目の覚めるような活躍を見せている。

昨季は8月終盤にメジャー昇格を果たしたが、それまでマイナーでは打率.309、14本塁打、28盗塁をマークし、守備はバッテリー以外の7つのポジションを守った。走攻守にバランスが良い上にユーティリティー性が魅力のプレーヤーだが、長打力もアピール中。

6月6日、メットライフドームで行われた中日との練習試合では7番左翼で先発出場すると、3打数2安打、2本塁打、4打点と躍動。1本目はしっかりと振り切って放った高い打球がレフトフェンスを越え、2本目は高めの直球を迷いなく振り抜き、バックスクリーンまで豪快に運んだ。広角に長打が打てることは相手にとって脅威になる。

練習試合では7番や8番での起用が続いていたが、6月11日には2番に起用されて4打数2安打。元から期待されていた脚力やアベレージに加えて長打力も併せ持ち、強力な山賊打線にまた一人新しい山賊が加わった。抜け目のない打線は今季も抜け目がないままになりそうで他チームは手を焼きそうだ。

ユーティリティー性がもたらす効果

スパンジェンバーグのユーティリティー性は、自身の出場機会を増やすことになるほか、川越誠司ら期待の若手野手たちのチャンスを増やすことにもつながる。ここまでの練習試合では左翼、三塁、二塁の守備につき、それぞれのポジションでの守備機会を無難にこなしている。

西武はレギュラーがハイレベルで大きな怪我(離脱)がないという強みはあるものの、野手の厚みという点で弱みがあった。そんな懸念点もこの助っ人が払拭してくれそうだ。

10日の練習試合では外崎修汰が欠場し、7番二塁で出場。4打数0安打と打撃は振るわなかったものの打球は落ち着いて処理していた。

今季は6連戦が続く過密日程。緊急事態宣言に基づく自粛期間が長かったこともあり、例年以上にコンディションの維持が難しくなることが想定され、怪我による離脱や疲労を考慮した欠場などへの対応頻度も増えるだろう。

そうした中、スパンジェンバーグのような器用で融通のきくプレーヤーがいることでチーム力をダウンさせずに済む。

清々しい全力プレー

オープン戦でなかなか結果が出なかった時、内野ゴロの際に一塁へ全力疾走を見せていた姿が印象的だった。凡退でもしっかりと走る勤勉さとエネルギッシュなプレーは、チームメイトにも好影響を与えそうだ。10日の練習試合では前日まで守っていた左翼ではなく二塁での出場となったが、セカンドゴロをさばいた際に楽しそうな笑顔を見せていた。

ハツラツとしたプレーに加え、野球を楽しげにプレーする姿は見ている方も清々しく、魅力的だ。首脳陣はもちろん、ファンもこうしたプレーはしっかりと見ており、スパンジェンバーグに対する期待は日に日に高まっている。

バッテリー以外のポジションが守れて、打撃力と脚力も併せ持っているため、どの打順でも機能する可能性が高い。辻発彦監督がスパンジェンバーグをどのように起用していくのかも要注目だ。

シーズンが開幕すれば、当然練習試合のようにはいかない。壁に当たった時にどう乗り越えていけるかが課題となるが、自粛期間にオープン戦での反省を生かして調整してきた勤勉さと対応力を考えれば、自ずと期待できる。スパンジェンバーグはリーグ3連覇の鍵を握るキーマンとなりそうだ。

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