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試合数減少で重要性増す?開幕ダッシュと優勝の相関関係【セ・リーグ編】

2020 5/18 06:00浜田哲男
巨人・原辰徳監督ⒸSPAIA
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ⒸSPAIA

試合数のさらなる減少を示唆

新型コロナウイルス感染拡大の影響により、開幕時期が定まらないプロ野球。現状、6月半ばから下旬のどこかで開幕できることを目指す方針は、12球団で一致しているという。だが、情勢は日々変わっており、予断を許さない状況であることに変わりはない。

交流戦の中止を発表した段階で最大125試合を目標としていたようだが、NPBはさらなる試合数減少の可能性を示唆。また、移動の際のリスクや選手、球団関係者らに感染者が出た場合の対策などクリアすべき課題は山積みだ。

このような状況の中、鍵を握ると思われるのが「開幕ダッシュ」。特にクライマックスシリーズ(CS)の開催も厳しい状況で、各チームの目標はシーズンを通じてリーグ優勝に絞られる。そうなった場合には是が非でも開幕から勢いをつけたいところだ。

そこで、過去5年間でリーグ優勝したチームの開幕20試合目までの成績を振り返り、開幕ダッシュとリーグ優勝の関連性(セ・リーグ編)を考察する。

試合数減少で重要性増す?開幕ダッシュと優勝の相関関係【パ・リーグ編】

開幕ダッシュがリーグ優勝を手繰り寄せる

下記表の数字だけを見ると、飛び抜けて開幕ダッシュに成功したというチームはないが、内容を見ると大型連勝が含まれている。

まずは2019年の巨人(13勝7敗)。開幕カードで近年苦手としていた広島に勝ち越すと、そこから怒濤の6連勝。坂本勇人をはじめ、新加入の丸佳浩や1番に定着した亀井善行らの活躍もあり、6月18日から首位を譲ることなくリーグ制覇を果たした。

セ・リーグ優勝チーム開幕から20試合の成績(直近5年間)ⒸSPAIA

2017年の広島(12勝7敗1分け)は開幕戦で阪神に6-10で打ち負けるスタートとなったが、2戦目からは引き分けを1つ挟みながらも怒濤の10連勝。開幕2戦目以内に始まった2桁連勝は、プロ野球史上5度目となる快挙だった。過去4度はすべてのチームがリーグ優勝を成し遂げていたが、同じく広島も優勝。投打において圧倒的な強さを見せつけた。

2016年に25年ぶりのリーグ優勝をした広島は、2017年も優勝候補の筆頭と目されていた。そして、この10連勝により他の5球団に「今年の広島も強い」と印象づけたのだ。シーズン序盤ではあったが、この時点で既に広島は優勝に近づいていた。

2018年も広島(12勝8敗)は開幕から上々のスタートを切り、交流戦が終わる頃には独走態勢に。その勢いのまま球団史上初のリーグ3連覇を決めた。

前回のパ・リーグ編の記事でも今回同様、過去5年間のリーグ優勝チームの成績(開幕から20試合)を比較したが、開幕ダッシュに成功してそのままリーグ優勝まで突っ走ったのは2018年の西武(16勝4敗)のみ。その他の年は、2016年の日本ハムが最大11.5ゲーム差をひっくり返してリーグ優勝したケースのように、シーズン終盤の逆転劇が散見された。パ・リーグに比べセ・リーグは、開幕ダッシュに成功したチームがリーグ優勝を手繰り寄せる傾向にあるようだ。

例年にも増して開幕ダッシュが重要

今季は開幕時期や置かれる環境、少ない試合数と全てが異例のシーズン。そのため、選手のコンディション管理は難しく、シーズン終盤は肌寒く怪我もしやすい時期と想定される。そのうえ、常に新型コロナウイルス感染のリスクがつきまとうことも考えられ、レギュラークラスの選手の急な離脱も想定しなければならない。

そうした事態を踏まえ、1軍公式戦に出場可能な「出場選手登録」の人数を拡大する案も出ているようだが、勝てる試合はしっかりとものにし、早い段階で可能なかぎりの貯金をしておくに越したことはない。今季のセ・リーグは例年にも増して、開幕ダッシュが鍵を握りそうだ。

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