中山翔太の本塁打率は丸佳浩を上回る
最下位脱出を目指すヤクルトは外野陣の高齢化が進んでおり、若手の突き上げに期待がかかっている。
そんな中、5月10日のオンライン取材で池山隆寛二軍監督が、期待の大砲候補として中山翔太と濱田大貴の名前を挙げた。ともに今年が2年目となる右打ちの外野手。青木宣親や雄平、一塁と併用である坂口智隆といった35歳以上のベテラン外野陣とレギュラーを争うことを期待しているようだ。
特に大卒2年目の中山は、昨シーズン35試合の出場で打率.289(97打数28安打)、5本塁打とまずまずの成績を残した。豪快な空振りを見ると、とてもボールに当たらなさそうに見える。だが、極端な低打率というわけではなく、率もしっかりと残しているのは心強い。
1本塁打を放つまでにどれだけの打数を要するかを表す指標の本塁打率(打数/本塁打)は19.4。打数が圧倒的に少ないものの、丸佳浩(巨人)の19.81(535打数/27本塁打)や外崎修汰(西武)の20.50(533打数/26本塁打)を上回っている。レギュラーを獲得できれば、20本塁打、30本塁打を期待できるであろう数字を1年目から残しているのだ。
現在のチームには、30本塁打が期待できる山田哲人と村上宗隆がいる。しかし、バレンティンが移籍したため火力が減少した感は否めない。そこに長打の期待ができる中山がオーダーに入ると、相手投手の恐怖は増すはずだ。
履正社高、法政大の出身者は本塁打王が複数誕生
レギュラー獲りへの期待がかかる中山は履正社高校、法政大学と名門校を歩み、2018年ドラフト2位でヤクルトへ入団した。この両校を調べてみると、本塁打王に縁があることが浮かび上がってくる。
これまでに履正社からは、T-岡田(オリックス)、山田哲人と2人の本塁打王が誕生している。同じ高校から複数の本塁打王が誕生するのは、ドラフト制度が始まった1965年以降で唯一の例だ。
大阪府内でライバル関係にある大阪桐蔭は、中村剛也(西武)の1人だけ、意外なことにPL学園から本塁打王は1人も出ていない。また、関東の強豪である横浜高校でも筒香嘉智(レイズ)だけだ。
法政大も凄い。同じくドラフト制がはじまった1965年以降に、田淵幸一(元阪神他)、山本浩二(元広島)、長池徳士(元阪急)と3人の本塁打王を輩出している。同一大学から3人の本塁打王は史上最多で、2人輩出した大学すらない。
ちなみに、東京六大学出身の本塁打王は、ドラフト制以前には長嶋茂雄(立教大→巨人)や大下弘(明治大→セネタース)などが獲得しているが、ドラフト制以降では法政大出身者しか獲得していない。これも意外な事実かもしれない。
本塁打王は外国人選手が獲得する機会も多く、日本人選手は他のタイトルと比べて少ない。そのため、複数の獲得選手を輩出している履正社や法政大が、稀有な存在であることは言うまでもない。その履正社、法政大と歩み、プロ入りした初めての存在である中山。本塁打王を期待したくなるのは当然のことだろう。
とはいえ、今年でプロ入り2年目。すぐに本塁打王を獲得できるほど、プロ野球の世界は甘くない。まずは一軍に定着し、レギュラーを獲得。段階を経て、頂点を目指すことに期待したい。きっと本塁打王の遺伝子が流れているはずだ。
2020年プロ野球・東京ヤクルトスワローズ記事まとめ