「10.2決戦」の2014年から6年連続の負け越し
長いペナントレースを制するためには「天敵を作らないこと」が大事な要素のひとつになる。大きく負け越す相手が1チームでもいるとトータルで貯金を積み重ねることは難しく、また相手の貯金を増やすことを助けてしまい「優勝」の二文字は遠のいていく。
その意味では昨季苦手とした相手との対戦は序盤戦の見どころになるだろう。早い段階で「天敵」の意識を払拭し、良い流れを生み出していきたいところだ。
そこで、苦手チームとの対戦データから天敵攻略の鍵を探っていきたい。今回は昨季パ・リーグ最下位に終わるも、若手が芽を出し戦力が整いつつあるオリックスを取り上げる。
昨季のオリックスが苦戦したのはソフトバンク。7勝16敗2分けで9つもの借金を作った。オリックスとソフトバンクといえば、思い出されるのは2014年の「10.2決戦」。勝てばマジック1、負ければソフトバンクのV決定という決戦に敗れ、あと一歩のところでリーグ優勝を逃した。
2014年の両軍は対戦成績としてもオリックス11勝、ソフトバンク12勝(1分け)と互角。オリックスはわずかに負け越したが、そこから昨季まで6年間、ソフトバンクへのシーズン勝ち越しは果たせていない。
主砲・吉田が鷹投手陣を苦手に 昨季“出番なし”の山岡は登板するか?
昨季のオリックスの主な選手のソフトバンク戦データを振り返り、天敵攻略のキーマンを探っていきたい。
攻撃面ではチーム全体としてソフトバンク投手陣に抑え込まれた中で、打線の「柱」である吉田正尚も苦しんだ。
昨季のオリックスはリーグワーストの544得点。打力に課題を抱えるチーム状況にあって、リーグ2位の打率.322を残しチーム唯一のベストナイン入りした吉田正尚は“孤軍奮闘”といえる活躍ぶりだった。しかし、ソフトバンク戦では打率.231。リーグ内の対戦チーム別成績として最も低い数字に終わった。打線全体の奮起が求められるが、まずは主砲に突破口を開いてもらいたい。
投手は昨季最優秀防御率を獲得した山本由伸がソフトバンク戦でも好投。7試合に先発して3勝2敗、防御率2.25をマークしている。打線の援護に恵まれず防御率の割に勝ち星は伸びなかったが、1試合の平均投球回は7回以上とイニングも稼ぎ、立派にエースの役割を果たしたといえる。
一方、苦戦したのがアルバース。来日2年目の昨季は2勝と不振だった外国人左腕は、4試合のソフトバンク戦登板で0勝3敗、防御率12.89。長打力が売りの鷹打線に6被弾を喫しカモにされてしまった。
山本は昨季のような好投を再び見せられるか、アルバースは苦手を克服できるかという意味で、投手陣においてはこの2人がキーマンとなるだろう。そこに加えて、もうひとり気になるのが山本と並び、Wエースに称される山岡泰輔。
昨季は初の2桁勝利となる13勝を挙げた山岡だが、ソフトバンク戦には1試合も登板していない。2018年のソフトバンク戦データをチェックすると、9試合に投げて0勝4敗、防御率5.54と苦手にしており、この相性の悪さを考慮しての登板回避だったと推測できそうだ。もし今季ソフトバンク戦を任せられるとすれば、成長した姿を見せてくれるだろうか。2年越しの雪辱が叶えばチームの借金も大きく減りそうだ。
2020年プロ野球・オリックスバファローズ記事まとめ