打率.289、15本塁打と上々の成績も
オリックスからレッドソックスに移籍した吉田正尚は2023年シーズン、140試合に出場し、打率.289、15本塁打、72打点、出塁率.338と1年目にしては上々の成績を残した。
身長173センチとメジャーリーガーの中では小柄だが、巧みなバットコントロールだけでなくパワーでもそれほど見劣りすることはなく、「マッチョマン」の愛称で親しまれた。朗らかな性格でチームにも溶け込み、2024年はさらに期待できそうだ。
吉田と言えば、オリックス時代は「三振しない打者」として有名だった。三振を1つ喫するまでにかかる打席数を示す「PA/K」は2020年が16.97、2021年が17.50と驚異的な数字で12球団トップ。平均すると17打席に1回しか三振しておらず、ロッテ佐々木朗希が完全試合を達成した試合では、吉田正尚が3三振したことが驚かれたほどだ。
では、メジャー1年目も三振は少なかったのだろうか。オリックス時代を含めた年度別成績は下の通りとなっている。
81三振、PA/K7.16はプロ入り以来ワーストの数字
2023年の吉田正尚は140試合に出場して580打席に立ち、81三振を喫した。PA/Kは7.16とプロ入り以来最低の数字だった。
断っておくが、7.16は決して悪い数字ではない。2023年のNPBで言えば、12球団の規定打席に到達した打者で最低だったのはヤクルト村上宗隆の3.55。三冠王に輝いた2022年は128三振だったが、2023年は12球団ワーストの168三振を喫した。
規定打席に到達した49人のうち、吉田と同等の7.13だった広島・菊池涼介が16位、7.24だった巨人・吉川尚輝が15位だから、真ん中より上。12球団トップの中日・大島洋平で11.49だった。
それでも、元々バットコントロールに定評のある吉田正尚にしては「三振が多かった」と言える。プロ1年目の2016年でも7.59で、それ以降は年々良化していたことを考えると、吉田正尚ほどの打者でもメジャーにアジャストすることは簡単ではないことがよく分かる。
疲労蓄積?9月に月別最多の18三振
月別に見ると、4月は10三振、5月は11三振だったが、打率が下降した8月に14三振、9月に月別最多の18三振を喫している。日本以上に試合数が多く、移動距離も長いアメリカでのシーズンは「マッチョマン」の体力を削ぎ落としていったことは容易に想像がつく。
対戦する投手の球が速い、変化球が鋭いのはもちろん、時間の経過とともに相手チームの研究が進んだことなども要因だろう。
しかし、逆に言うと、それでも打率.289、15本塁打をマークしたことは称賛に値する。対応力の高い吉田正尚なら2024年以降、必ず修正してくるはず。日本球界屈指の「三振しない打者」の巻き返しに期待したい。
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