日本ハム時代から「打撃練習を見るのが楽しみだった」
44本塁打で日本人メジャーリーガー初となる本塁打王に輝き、投手としても10勝を挙げたエンゼルスの大谷翔平。その一投一打は連日のようにトップニュースとして報じられ、今や日本だけでなくアメリカでも指折りの大スターとなった。
日本ハム、オリックス、阪神でプレーしたプロ野球OBの糸井嘉男氏は「シンジラレナ~イ」と日本ハム時代の恩師でもあるトレイ・ヒルマン元監督の名台詞で祝福した上でこう話した。
「いろいろな国から選手が集まった世界最高峰のMLBで日本人がホームラン王を取るなんて歴史を変えたと言えます。しかも、パワーで圧倒するとは今までは考えられないことですし、それを成し遂げたのは本当に素晴らしいです。尊敬しかないですね」
手放しで称賛するのは糸井氏自身も投手としてドラフト1位でプロ入りし、野手転向して1755安打をマークしたことと無関係ではないだろう。投手から野手に転向する苦労を肌身で感じたからこそ、「二刀流」として投打で同時に活躍し、しかもメジャーリーグでタイトルを獲ることに尊敬の念を抱かずにはいられない。
「考えられないことをやってますよ。憧れますよね。僕がまだ現役だったら、大谷選手の全てを研究しますね」とアスリートとしての興味は尽きないようだ。
大谷は糸井氏がオリックスに移籍した2013年に日本ハム入りしたため、敵チームとして見ていた。「札幌ドームに遠征に行った時はバッティング練習を見るのが楽しみでしたね。当時から飛距離が断トツで凄まじかったです。ギータ(柳田悠岐)を見て、えぐいなって思ってましたけど、それを上回ってたんで」と振り返る。
侍ジャパンの一員として、今年3月にバンテリンドームで行われた中日との壮行試合前の打撃練習で、前年三冠王の村上宗隆らが驚きの表情を見せていたのをご記憶の方も多いだろう。大谷がバンテリンドームの5階席まで放り込む特大アーチを放つたび、日本の超一流選手たちがあんぐりと口を開けていた。糸井氏は同じような衝撃を、大谷の日本ハム時代に体感していたのだ。