大きく横に曲がるスライダー
エンゼルス大谷翔平の投げる「スイーパー」が話題を呼んでいる。
第5回ワールドベースボールクラシック(WBC)決勝のアメリカ戦で大谷がマイク・トラウトから三振を奪った最後の決め球がそれで、大きく横に曲がるスライダー。シーズンに入ってからも大谷は多投しており、ストレート以上に大きな割合を占めている。
スイーパーの定義は、球速128キロ以上で25センチ以上横に曲がり、10センチ以上沈まないボールとする報道もある。大谷の場合、約44.5センチの変化量があるとされ、ホームベースの右端から左端に横滑りするようなイメージだ。打者が対応するのは容易ではないのも当然だろう。
大谷のしなやかな投球フォームや筋力があるからこそ鋭い回転をかけられるのであり、誰もが投げられる変化球ではない。
とはいえ、新しい球種というわけではなく、以前から投げていたスライダーの進化版が新たにネーミングされたのというのが実情。近年はあらゆるデータが数値化されるため、横の変化量が大きいスライダーは「スイーパー」に分類されるというわけだ。
宣銅烈の高速スライダーもスイーパーだった?
韓国の「スポーツソウル日本版」でもスイーパーが取り上げられており、1979年から1992年までブルージェイズで活躍したデーブ・スティーブや1994年にサイ・ヤング賞に輝いたデビッド・コーンらもスイーパーを投げていたとした上で、かつての韓国の剛腕の名も挙げている。
1985年から95年にヘテで146勝132セーブをマークし、中日でも通算98セーブを挙げた宣銅烈だ。
「今振り返ればスイーパーだった。当時は“高速スライダー”という名称が使われていたが、スライダーとしてみるには球速が速いのはもちろん、横の動きがかなり強かった」と紹介している。
計測機器が発達していない当時の変化量を正確に知ることは不可能だが、だからこそ伝説のようなスイーパーの“元使い手”はこれからさらに出現する可能性がある。
日本のプロ野球史でも指折りの高速スライダーを投げていた伊藤智仁(現ヤクルト投手コーチ)も、スイーパーの使い手と言えるのではないか。大谷は「二刀流」として、眠っていたベーブ・ルースの記録を掘り起こしたが、今度はスイーパーの使い手を掘り起こすかも知れない。
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