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仙台育英高校野球部の甲子園成績と歴史、駒大苫小牧以来7校目の夏連覇なるか

2023 8/20 11:00SPAIA編集部
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ⒸKPG_Payless/Shutterstock.com

史上7校目の夏連覇目指す仙台育英

第105回全国高校野球選手権記念大会で、連覇を狙う宮城代表の仙台育英が準決勝に進出した。準々決勝ではプロ注目の強打者・佐々木麟太郎を擁する花巻東(岩手)と対戦。3回表に4点を奪うと、続く4回表にも4点を追加。大量リードを4投手の継投で守り切り、9-4で2年連続の4強入りとなった。

2004、2005年の駒大苫小牧(南北海道)以来7校目の夏連覇(3連覇含む)に挑む仙台育英。今春センバツでは準々決勝で敗退したが、3季連続での甲子園出場となった今大会でも優勝候補筆頭に挙げられていた。ただ、ここまでの道のりは決して平坦ではなかった。

浦和学院(埼玉)との対戦となった初戦は、両校合計37安打が乱れ飛ぶ打撃戦となり、19-9で勝利。2回戦では昨夏も準決勝で対戦した聖光学院(福島)との東北勢対決を制した。3回戦では大阪代表の履正社と激突。追いつ追われつの展開の中、8回表にスクイズで勝ち越した1点を守り切り、4-3で接戦を制した。

初戦から準々決勝まで、強豪校との激闘を制して勝ち上がってきた昨夏の王者。準決勝の相手も初の4強入りで勢いに乗る神村学園(鹿児島)と、難敵が待ち受ける。

初の決勝は延長で敗退、春夏あわせて4度目の決勝で東北勢初優勝

仙台育英が初めて甲子園に出場したのは、1963年夏の選手権大会。初戦で今治西(愛媛)に敗退するが、同校にとって歴史的な年となった。

1989年にはエース大越基を擁し、初めて決勝に進出。帝京(東京)と対戦し、延長10回0-2で惜しくも敗れた。この時の帝京のエースは同年のドラフト会議で巨人から3位指名された吉岡雄二だった。2001年春の選抜では、左腕エース芳賀崇を擁して選抜初の決勝へ進出するも、6-7で常総学院(茨城)に敗れ、準優勝に終わった。

2010年夏の選手権では、初戦で島根県代表の開星と対戦。開星のエース白根尚貴(元DeNA)に抑え込まれ、9回表二死まで3-5と敗色濃厚だった。しかし、ここから安打、死球、失策などで1点を返し、なおも走者を置いて逆転のチャンスを作る。

次打者が打ったのは、平凡なセンターフライ。誰もが万事休すと思った瞬間、中堅手が落球し、二者が生還して逆転に成功。奇跡的に勝利を収めた。この落球シーンは甲子園のドラマとして、たびたび取り上げられている。

2015年夏に春夏あわせて3度目の決勝へ進出。優勝候補筆頭と目されていた東海大相模(神奈川)と対戦し、8回まで6-6の激闘を繰り広げたが、9回表に相手エースの小笠原慎之介(現中日)に決勝本塁打を許し、6-10で敗れ、またもや決勝で涙をのんだ。

2018年、須江航氏が監督に就任し、「日本一からの招待」をスローガンに掲げ再出発。2019年夏はベスト8入りしたものの、準々決勝はエース奥川恭伸を温存した星稜に1-17で大敗した。

迎えた2022年夏、29度目の夏の甲子園出場を果たすと、初戦の鳥取商(鳥取)に10-0で大勝。3回戦で初出場の明秀日立、準々決勝では愛工大名電(愛知)、東北勢対決となった準決勝では聖光学院(福島)を撃破し、4度目の決勝に進出した。

決勝の相手は、優勝候補筆頭の大阪桐蔭を破って初の決勝に勝ち上がってきた下関国際(山口)。両校とも初優勝をかけた試合は仙台育英が4回裏に1点を先制、7回裏には一挙5点を追加し、試合を決めた。終わってみれば8-1と投打で圧倒。東北勢として初優勝を果たし、春夏通じて初の優勝旗の「白河の関越え」を成し遂げた。

多数のプロ野球選手も輩出

仙台育英は1905年に創立され、100年以上の歴史を誇り、多くの著名人も輩出している。スポーツ界では女子日本バレーボール代表としてオリンピックでも活躍した大友愛や、ラグビー日本代表の畠山健介らがいる。

プロ野球の道に進む生徒も多く2023年時点で34人の選手がプロ入りを果たしている。1965年に行われた第1回のドラフト会議でも、加藤俊夫(大洋2位・拒否)、石崎一夫(大洋10位)が指名されるなど、仙台育英は古くからプロ野球選手を輩出していた。

特に有名なOBは、1992年にダイエーから1位で指名された大越基と、2007年の高校生ドラフト1巡目でヤクルトに指名された佐藤由規だろう。また、2015年夏の甲子園で準優勝を果たした時のエース・佐藤世那(元オリックス)と平沢大河(ロッテ)もプロ入りを果たした。2023年現在も9人がプロ野球の舞台でプレーしている。

数々の名選手たちが在籍し、甲子園にはこれまでに春は15回、夏は30回出場している。そして、史上7校目の夏の甲子園連覇まであと2勝に迫った今大会。果たして2年連続での深紅の大優勝旗の「白河の関越え」なるか注目だ。

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