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高校野球の甲子園連覇は過去何校?センバツ、選手権、春夏、夏春の連続優勝を振り返る

2023 8/8 07:00SPAIA編集部
甲子園球場,Ⓒ7maru/Shutterstock.com
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Ⓒ7maru/Shutterstock.com

春夏連覇は大阪桐蔭など過去7校

プロ野球の世界では読売ジャイアンツが前人未踏の9連覇を達成するなど、数多くの連覇が成し遂げられている。高校野球でも春のセンバツ連覇、夏の選手権連覇、春夏連覇、夏春連覇とあり、それぞれ意味合いが違う。甲子園における連覇の歴史を振り返ってみたい。

まずは、最もわかりやすい春夏連覇から見ていこう。同一年度に行われる春のセンバツ、夏の選手権を連覇することを春夏連覇と呼ぶ。唯一、世代が変わらない中での連覇となり2023年春のセンバツ終了時点で7校が計8回達成。近年では2018年に根尾昂(現中日)、藤原恭大(現ロッテ)らを擁して2度目の春夏連覇を果たした大阪桐蔭が記憶に新しい。

最もインパクトが強かったのは1998年の横浜ではないだろうか。エース松坂大輔、後藤武敏、小池正晃、小山良男らを擁し、PL学園との準々決勝は延長17回の死闘、明徳義塾との準決勝は終盤に6点差を逆転、京都成章との決勝ではノーヒットノーランと記録にも記憶にも残るチームだった。この世代は公式戦44連勝で無敗のまま引退する偉業も達成している。

【春夏連覇達成校】
1962年:作新学院高(栃木県)
1966年:中京商業高(愛知県)
1979年:箕島高(和歌山県)
1987年:PL学園高(大阪府)
1998年:横浜高(神奈川県)
2010年:興南高(沖縄県)
2012年:大阪桐蔭高(大阪府)
2018年:大阪桐蔭高(大阪府)

最も困難?春のセンバツ連覇

最も連覇が少ないのは春のセンバツだ。センバツに出場するためには、夏の選手権終了後の新チーム結成直後に行われる秋季大会で結果を残す必要がある。新チームになったばかりで完成度は低く、選手も1年生、2年生でまだまだ成長途上だ。

このような状況で秋に結果を残し、冬を越して全国の舞台で結果を残すのは容易ではない。さらに連覇となると、2世代連続で結果を残すことが必要。そのため、2023年春のセンバツ終了時点で達成は3回のみとなっている。

直近の達成例は2017年、2018年の大阪桐蔭で、福井章吾主将だった2017年はセンバツで優勝して夏の甲子園は3回戦敗退。翌2018年は中川卓也主将の下、根尾、藤原ら「最強世代」と呼ばれたメンバーがセンバツ連覇、さらに春夏連覇も果たした。

【春連覇達成校】
1929年、1930年:第一神港商(兵庫県)
1981年、1982年:PL学園高(大阪府)
2017年、2018年:大阪桐蔭高(大阪府)

史上唯一の3連覇も達成された夏連覇

高校野球の集大成である夏の選手権を連覇した高校は6校(3連覇含む)。そのうち5校は、まだまだ学校数が少なく地域格差も大きかった1940年代までに成し遂げており、近年では2004年、2005年の駒大苫小牧高の1校のみとなっている。3連覇を目指した2006年夏の選手権は、エース田中将大(現楽天)の力投で決勝まで勝ち進んだものの、延長15回引き分け再試合で斎藤佑樹(現日本ハム)がエースだった早稲田実業に敗れた。

史上唯一となる夏3連覇を達成したのは1931年、1932年、1933年の中京商(現中京大中京)だ。エース吉田正男は甲子園最多の23勝(3敗)を記録するなど圧倒的な強さを誇った。このチームには吉田以外にもプロ入りする野口明、杉浦清らがおり「甲子園史上最強」との呼び声もあるほどだ。

【夏連覇達成校】
1921年、1922年:和歌山中(和歌山県)
1929年、1930年:広島商(広島県)
1939年、1940年:海草中(和歌山県)
1947年、1948年:小倉中、小倉高(福岡県)
2004年、2005年:駒大苫小牧高(南北海道)

【夏3連覇達成校】
1931年、1932年、1933年:中京商(愛知県)

4校が達成している夏春連覇

夏の選手権を制し、新チーム結成後も勝利を重ねて翌春センバツも優勝する夏春連覇は4校が達成している。1960年、1961年に夏春連覇を達成した法政二高は、後に巨人で活躍する柴田勲がエースだった。そして、1961年夏の選手権でも準決勝まで勝ち上がり、夏春夏の3連覇目前まで迫ったが、浪商・尾崎行雄との3度目の対決で敗れた。

1982年、1983年の池田高を最後に達成校はなく、40年も遠ざかっている記録だ。当時の池田高は「攻めだるま」こと蔦文也監督がチームを率いており、圧倒的な攻撃力を誇る「やまびこ打戦」で1980年代前半の高校野球を牽引した。

史上初の夏春夏3連覇を狙った1983年夏の選手権では、準決勝でPL学園に0-7で敗戦。PL学園は1年生の桑田真澄と清原和博が初めて甲子園に登場した年でもあり、池田からPL学園へと主役が移った瞬間でもあった。

【夏春連覇達成校】
1930年、1931年:広島商(広島県)
1937年、1938年:中京商(愛知県)
1960年、1961年:法政二高(神奈川県)
1982年、1983年:池田高(徳島県)

2023年夏の甲子園で連覇に挑む仙台育英

2023年夏の甲子園には、前年優勝の仙台育英(宮城)が出場している。今春センバツを制した山梨学院は甲子園出場を逃したため、「連覇」への挑戦権を持つのは仙台育英のみ。初戦は強豪・浦和学院(埼玉)から19点を奪い、19-9で実力を見せつけた。

昨夏の甲子園を経験したメンバーも残っており、高橋煌稀、湯田統真、仁田陽翔、田中優飛、武藤陽世の5投手はいずれも最速140キロを超える実力の持ち主。2回戦は聖光学院(福島)、これに勝っても3回戦で高知中央(高知)対履正社(大阪)の勝者と対戦と厳しいブロックに入っているが、突破する力は十分にありそうだ。

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