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高校野球全国大会の歴代優勝校、明治神宮、選抜、選手権、国体の4冠年度別成績

2023 10/12 11:00SPAIA編集部
甲子園球場,ⒸKPG_Payless/Shutterstock.com
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ⒸKPG_Payless/Shutterstock.com

大阪桐蔭、山梨学院、慶応がタイトルを分け合った2023年度

夏の甲子園は慶応(神奈川)の優勝で幕を閉じた。振り返れば、昨秋の明治神宮大会を制した大阪桐蔭は大会史上初の連覇を果たしたが、優勝候補に挙げられていた今春センバツは準決勝で敗れ、夏は大阪大会決勝で敗退。センバツを制した山梨学院も夏は甲子園に出場できなかった。

大阪桐蔭が明治神宮、センバツ、国体の3冠を達成した2022年度に比べると、今年度は抜けたチームがなく混戦だったと言えるだろう。現在の3年生にとって最後の公式戦だった2023年鹿児島国体の高校野球は全日程を消化できなかったため、仙台育英(宮城)と土浦日大(茨城)が両校優勝となった。

高校野球は秋季大会が新チームとして最初の公式戦。11月に各地区の優勝校で頂点を争う明治神宮大会が最初の全国大会となる。秋季大会の成績を選考資料として翌年春に行われる選抜大会、さらに夏の選手権大会と続き、夏の甲子園上位校が出場する国体も合わせて全国大会は4回開催される。

同一チーム(前年秋の明治神宮大会から翌年秋の国体まで)で複数大会を制覇した高校はどれくらいあるのだろうか。明治神宮大会で高校の部が始まった1973年以降の歴代優勝校が下の表だ。便宜上、明治神宮大会は翌年度に表記している。

高校野球全国大会の歴代優勝校

4大会完全制覇は松坂大輔擁する横浜のみ

燦然と輝くのが1998年度の横浜(神奈川)だ。「平成の怪物」松坂大輔や後にプロ入りする小山良男、後藤武敏、小池正晃らを擁して1997年の明治神宮大会を制すると、翌春センバツ決勝で関大一を破って優勝。夏の甲子園ではPL学園(大阪)との延長17回の死闘を制し、決勝の京都成章戦をノーヒットノーランの快挙で春夏連覇を達成。さらに国体でも優勝して4大会を完全制覇し、公式戦44勝無敗というパーフェクトレコードを残した。

2022年の大阪桐蔭は、あの横浜に次ぐ3冠達成。勝負事に「タラレバ」は禁物だが、国体では夏の甲子園準々決勝で敗れた下関国際(山口)に3-1で雪辱し、全国制覇した仙台育英(宮城)にも3-1で勝った。異様なムードで「甲子園の魔物」に呑み込まれたとしか思えない準々決勝に勝っていれば…と考えたファンも少なくないだろう。

大阪桐蔭は3回目の3冠だったが、それまでの2回は国体が全日程を消化できず、単独優勝は2022年が初めてだった。藤浪晋太郎(現阪神)と森友哉(現西武)のバッテリーで初めて春夏連覇した2012年は、雨天のため日程を消化できず仙台育英と両校優勝。根尾昂(現中日)、藤原恭大(現ロッテ)ら「最強世代」を擁して2度目の春夏連覇を果たした2018年は、雨天のため浦和学院、金足農、近江と4校が優勝となった。2022年はより価値のある、正真正銘の3冠だった。

箕島と日大三も3冠達成

3冠を達成したのは他に2校。1979年の箕島(和歌山)は、石井毅と嶋田宗彦のバッテリーで春夏連覇を果たし、国体では都城、浪商、浜田とともに4校優勝となった。

2011年の日大三(東京)は髙山俊(現阪神)、横尾俊建(現楽天)らを擁して明治神宮、選手権、国体の3大会を制している。

2冠も見てみよう。1975年に習志野(千葉)が選手権と国体で優勝。1977年には早稲田実(東京)が前年の明治神宮と国体、愛甲猛を擁した1980年の横浜が選手権と国体で優勝した。1984年は岩倉(東京)が明治神宮とセンバツ、取手二(茨城)が選手権と国体を制した。立浪和義現中日監督のいたPL学園が春夏連覇した1987年は、帝京(東京)が前年の明治神宮と国体で優勝している。

1992年は松井秀喜(元ヤンキース)を擁した星稜が前年の明治神宮を制し、夏は5打席連続敬遠で明徳義塾(高知)に敗れたが、秋の国体で優勝。2002年の報徳学園は、後にロッテで活躍する大谷智久を擁して明治神宮とセンバツを制覇した。

2005年には田中将大(現楽天)のいた駒大苫小牧、翌2006年は斎藤佑樹(元日本ハム)のいた早稲田実が選手権と国体を制覇。2010年には興南が春夏連覇し、2015年には小笠原慎之介(現中日)を擁する東海大相模(神奈川)が選手権と国体で優勝した。

練習施設やトレーニングの進化などによって地域間の格差が小さくなり、全国的にレベルが上がっている高校球界。今後、横浜以来の4冠完全制覇を果たす高校は出現するだろうか。

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