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たった1球で終わった夏…儚く散った甲子園の夢、高校野球広島大会10日開幕

2021 7/2 11:00占部大輔
イメージ画像ⒸmTaira/Shutterstock.com
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1球の暴投でベンチ入りできなかった最後の夏

今年も球児の夏がやってきた。広島の広陵高校野球部で青春時代を過ごした私は、この時期になると胸が高鳴る。

8年前、私の最後の夏は、広島県大会前のベンチ入りメンバーを決める最後の練習試合で投じた“たった1球”の暴投で幕を閉じた。

夏の県大会ではベンチ入りできずスタンドから応援。準決勝で現オリックスの山岡泰輔擁する瀬戸内と対戦し、エースの“たった1球”の暴投で逆転されて甲子園の夢は潰えた。

2年半の歳月をかけても、終わる時は一瞬だ。

126人いる部員の中から背番号「1」を勝ち取るため、誰よりも走り、誰よりも練習した。入部当初は練習に全くついていけず、持久走は常に後ろのグループ。それが悔しくてひたすら練習をしているうちに、持久走で私の前を走る選手はいなくなった。

投げるボールも見違えるように変わった。最速126km/hのボールは140km/hを超えるまでになった。そして見えてきたのは、「さらなる壁」だった。

140km/hを超えてもチームの球速ランキングで言えば7番目くらい。これでは勝てないと思い変化球を磨き、名将・中井哲之先生(広陵高校では「監督」と呼ばない)に「山岡張りのスライダーを放るのう」と褒めていただいたが、チームメイトたちは見たことのない軌道のカーブやチェンジアップを簡単に投げてみせた。

広陵野球部で1/126人をつかみ取り、広島県大会で1/96校の切符を手に入れ、甲子園で1/4048校(2013年当時)の頂点に立つ。今振り返ると、めまいがするような挑戦だ。

どんなに努力しても、高校野球は“たった1球”で終わる。この不条理で無謀な挑戦に、毎年10万人を超える球児たちが挑戦している。だからこそ、高校野球は奥が深い。

今年の広陵はエース林燦、主砲・内海優太ら戦力充実

今年の広陵には期待している。エースの林燦と主軸を打つ三木太陽ら3年生に加え、本格派右腕・松林幸紀、主砲・内海優太、リードオフマン・中川将心ら2年生の活躍も目覚ましい。初戦は因島-美鈴が丘の勝者と戦う。

一方、広陵とともに県内で夏の甲子園出場最多タイの23回を誇るライバル・広島商も前評判が高い。エースの小田航己ら6投手の継投と主将の中下舜也を軸とした打線で投打において抜け目ないチームに仕上がっている。初戦の相手は加計芸北-呉商の勝者だ。

両校とも全国で戦えるレベルなのは間違いない。MLBのテキサス・レンジャーズでプレーする有原航平、巨人・小林誠司、広島・野村祐輔ら名選手を輩出している広陵とNPBの怪物“ギータ”ことソフトバンク・柳田悠岐を輩出している広島商。県内の夏の出場最多記録が更新されるか注目だ。

広島商と広陵の甲子園成績

高い投手力でセンバツ出場&春の県大会優勝の新庄

さらに忘れてはならないのが春のセンバツに出場した新庄だ。ヤクルト・田口麗斗や日本ハム・堀瑞輝らを輩出している同校は、2014年の春を皮切りに以降8年間で春夏計5回の甲子園出場を果たしている(2020年センバツは中止)。

広島新庄の甲子園成績


今年のチームは、切れ味抜群の変化球とコントロールが持ち味の技巧派左腕・秋山恭平と投打の軸としてチームを牽引する本格派右腕・花田侑樹の左右の好投手がいる。センバツでも見せた両投手の高い安定感で、夏の甲子園切符を勝ち取る可能性も十分だ。初戦は神辺-舟入の勝者と戦う。

今年はどんな“1球”を見ることができるだろうか。広島大会の開幕は7月10日。「一瞬の夏」が待ち遠しい。

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