奪三振率トップは明豊・太田虎次朗
「春は投手力」という言葉があるように、冬のオフシーズンが明けてすぐに行われる春の選抜高校野球大会では、投手力が大会の行方を左右することが多い。投手力と言っても様々な要素があるが、今回は「奪三振率」という面から投手たちを見ていこう。
「奪三振率」に着目するためには、ある程度のイニングを投げていなければ比較が難しい。そこで「2020年秋の公式戦で試合数×2イニング以上を投げた投手」に限定し、その奪三振率を見ていくこととする。この条件で対象となるのは32校で46人。そのうち14校では2人の投手が該当、3人以上の投手が条件を満たしたチームはなかった。
46人の中でトップの奪三振率13.36をマークしたのは、明豊の太田虎次朗。32.1イニングを投げて48奪三振と、1イニングあたり約1.5個の三振を奪っていた計算になる。背番号10ながら被安打24、与四死球15と安定した投球を見せており、選抜での奪三振ショーに期待したくなる左腕だ。
エースの京本眞も20.1イニングで18三振を奪っており、ともに三振を量産できるタイプの投手と言える。ちなみに、太田の兄は読売ジャイアンツの投手・太田龍で、もしプロ入りすれば来年からはプロの舞台で対戦する可能性もある。
奪三振率2位の12.41をマークしたのは、神戸国際大付の阪上翔也。兵庫県大会では背番号8も、近畿大会からエースナンバーを背負ってチームを4年ぶりの選抜に導いた。41.1イニングを投げて57奪三振、防御率0.87と抜群の安定感を見せるも、右肘を痛め終盤は投げられず。一冬を越えて回復し、聖地でも奪三振マシンと化すか。
奪三振率12.30で3位にランクインしたのは、北海の145キロ左腕・木村大成だ。春・夏通算50回の甲子園出場を誇る同校にあって、歴代No.1左腕の呼び声高い木村は、52.2イニングを投げ72奪三振、防御率は驚異の0.34。伝統校史上初の優勝は、今春実現するかもしれない。
ちなみに、奪三振”数”トップは市和歌山の小園健太だった。最速152キロの剛速球を武器に、68.1イニングを投げ80奪三振、奪三振率10.54と、質・量ともにハイレベルな数字をマークした。4番で捕手の松川虎生とは貝塚ヤング時代からバッテリーを組み、中学3年時には全国優勝も経験。息の合ったコンビネーションで、選抜での三振量産を楽しみにしたい。